DNAの塩基配列やタンパク質のアミノ酸配列に生じる進化的変化は生物進化の根源的な原因と言えます。そのため、ゲノムや生物の進化を深く理解するためには、進化過程でこれらの分子がどのように変化するのかを理解することは重要です。また、これらの情報は分子配列データを用いた分子進化解析や分子系統解析を正確に行うためにも必要です。私達は、進化過程で生じる塩基置換やアミノ酸置換の速度とパターンに関して、数理モデルによる理論的解析、コンピューターを用いたシミュレーション解析、および実際のデータ解析によって研究しています。特に、分子進化・分子系統学における解析理論の開発を視野に入れた研究を行っており、現在、進化速度が系統によって異なる場合、分子時計をどのように用いて分岐年代を推定するかという研究テーマに力を入れています。[
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遺伝子間、系統間で非常に大きな進化速度の差異が見られる zinc finger protein 遺伝子の系統樹(A)でも、RelTimeを使えば分子時計による分岐年代測定が可能になります(B)。x1: ヒトZFX、x2: マウスZFX、y1: ヒトZFY、y2: マウスZFY。