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生命科学専攻
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大学院生のキャンパスライフ

Y. O. くん(博士前期課程、植物発生生理学研究室)の場合

研究テーマ: イネ受精卵における核融合メカニズムの解明
「核融合」とは、受精後に精・卵細胞の各々の核(DNAの塊)が融合する事象を指します。植物ではこの核融合がどのように起こるのか詳しくは解明されていませんでした。そこで、等研究室が開発したイネin vitro 受精法を用いて、その解明に取り組んでいます。

研究生活
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私は学部4年生からこの研究室に入ったのですが、初めは何から手を付ければいいのか、まったく分かりませんでした。しかし、先生に顕微鏡の扱いや、イネの育成法、細胞単離法等をマンツーマンで教えて頂けたおかげで、実験手法をその原理を含め、より深く学ぶことができました。また、実験の組み立て方が徐々に分かってきた段階で、学生がやりたいと思った実験はどんどんやらせて頂けたので、私自身も顕微鏡操作だけではなく、核の定量、mRNA解析、シロイヌナズナ変異体解析等々、色んな実験を行えています。
 そうした環境のおかげで、研究もはかどり今、目標だった「論文」を投稿中です!!

研究室の雰囲気
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私は「植物が好きだから〜」という至極単純な理由で、この研究室を選びました。
 先生方は「研究において学生と対等な関係であるべき」との考えの基、研究の話や、進路の話、時にはアルバイトや恋愛の話まで、どんな相談、くだらない会話でも気軽に話すことができる父親と友人の間のような存在ですw
 お花見であったり、BBQであったりと研究室単位での交流も多くあります。
私自身も研究ばかりじゃ、研究は上手くいかないと、お昼に皆でカレーをつくったり、夏は皆でプールに遊びに行ったり、冬は鍋パーティーを開いたりと、日々の研究の疲れをリフレッシュしています。

学生生活
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授業のひとつに「国際実践演習」という、英語によるコミュニケーション能力の向上を目的とした、プログラムがあります。その中の一つである、韓国ソウル市立大学との学生交換訪問は、私にとって最高の思い出であり、英語の苦手意識を払拭するきっかけとなりました。
 4年生の時、韓国から来た学生に私の研究の紹介と、その手法を教える大役を任されました。英語に対し苦手意識のあった私は、カタコト英語と身振り手振りを駆使し、なんとか向こうの学生に意図を組み取ってもらうといった有様でしが、だからこそ伝わった時のうれしさは一塩で、同時に、他国の人間と意思疎通を図れる「英語」の便利さに気付かされました。
 この経験からもっと交流に関わりたいと思い、次年度のM1の時には国際交流委員に立候補し、研究交流のみならず受け入れの企画経理にも携わりました。そして、2014年の1月には私自身が韓国の大学を一週間訪問しました。空港には2年前に私が研究を教えた学生が来てくれて、彼に「すごくおしゃべりになっててビックリしたw」と言われた時、私自身も、自分が変わった事に気づかされ、驚きました。
 このプログラムを通し、「英語の能力が上がった」とはまったく思っていません(まだまだカタコト英語です,,,)ですが、他国の人と会話できる楽しさを知り、英語の勉強に対し前向きになれました。今ではTOEIC800点越えを目指し、英語の勉強に励んでいます。

H. S. さん(博士前期課程、植物発生生理学研究室)の場合

研究テーマ: トウモロコシ幼葉鞘におけるオーキシン合成から光屈曲形成機構の解明
植物ホルモンのひとつであるオーキシンはトウモロコシの幼葉鞘の先端で作られていることが当研究室の先行研究から解っています。どのようなタンパク質がその合成に関わっているのか、作られた後どのように作用点まで行き作用するのか、その解明を目指しています。現在、幼葉鞘先端で光を受容すると屈曲することが解っており、オーキシンの偏差分布がそこで形成されることも確認されています。この先端部位で起こる様々な事象のつながりを明らかにするべく、日々研究に取り組んでいます。

研究生活
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研究室に入った当初は周りの同期から「頼りなさそう(笑)」と言われ、イメージを払拭しようと必死に研究に取り組みました(笑)。初めはどんな実験をすれば良いのか全く分からず,言われるがまま実験をやって、それに対する責任もあんまり感じていませんでした。しかし、先生や研究員の方、先輩方にアドバイスを頂いているうちに少しずつ自分のやりたい研究が見えきて、先生を引っ張るぐらいの気持ちで、進んで先生に実験を提案、実施してきました。無意味なものだったり、無謀な案だったりもありますが(笑)、それを受け入れてくれる先生のおかげで、自ら考えて行うことが楽しくなってより一層前向きに研究に取り組むようになりました。今では、同期や先生達から、私の使っている機器での解析を教えてあげられるぐらいたくましくなれました(笑)。
 また、様々な研究者の方と話す機会を経て、私もこの人達の位置に行きたいと思うようになりました。私がそれくらいできるようになるころには、そこにいた人達はもっと進んでいるのだろうけれど,,,その時にもまた振り返って意見を聞いてくれるような気がして、ならばずっと追いかけていきたいと思うようになりました!
 研究とは長い歴史の一部だと思います。まだ自分が何をできるのかわかりませんが、同じ流れに身を置きたい、私もその歴史の一部を担いたいと思い、今は研究者を目指しています。

研究室の雰囲気
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先生方は「研究者においては学生も対等な関係」との考えの基,研究の話から恋愛の話まで、どんな会話でも気軽に話すことができます。髪を切ったことに全然気が付かなかったり、気にしている体系の話をしてきたりと、ムカッとする時もありますが(笑)、体調が悪いときにはさりげなく気を使ってくれるとても優しい先生方です。
 研究だけでなく、皆で季節ごとにイベントをすることもあります。料理の上手な人がいるときは助かっています(笑)。研究、またそれ以外の色々な経験を通すうちに,この研究室に入った当初は想像もしていなかったくらい,落ち着く場所になっていました。

学生生活
研究室に所属すると休みがよくわからなくなりました。研究に終わりはなくて,どこで休むかも自分次第。そんな中でプライベートの時間は大切だと思います。好きなことをしたり、好きなところに行ったり、好きな人と過ごしたり。そうすることで楽しく研究に取り組めるようになりました。やらなくてはならないことではなくて、やりたいことがたくさんある今が幸せです♡
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フランス研究室への1カ月の研究留学での1コマ

S. S. くん(博士前期課程、発生生物学研究室)の場合

研究テーマ: 脂質代謝関連因子APOA1の初期肝臓発生に関する機能解析
肝臓は動物にとって非常に重要な器官ですが、その形成機構には未だ解明されていない点があります。例えば私の注目している初期発生に関しては、Hexという遺伝子やBMP signalingというシグナル分子が関係していることは知られていますが、それらのon/offを調節する機構は分かっていません。そこで私は発生の早い段階から肝臓で発現する遺伝子APOA1がこれらの調節に関わっていると考え、ニワトリ胚使ってAPOA1の機能について研究しています。

研究生活
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私にとって研究は、今の自分の基礎になっていると言えます。高校や学部時代に受けてきた授業とは異なり、研究とは受け身な姿勢では成り立ちません。積極的に何かを得ようとする姿勢が重要だということをこの研究室に入ってから実感しました。そしてその姿勢が他の場面においても自然に発揮されるようになり、就職活動などにおいても自信となりました。
 研究生活はとても刺激的だとも思います。もちろん上手くいかずに悩む日々もありますが、新しい結果を掴んだ時の快感は他では味わえない感覚です。研究を通して一歩一歩確実に成長を感じることができるのも、研究生活の魅力の1つだと思います。

研究室の雰囲気
私の所属する発生生物学研究室は、メリハリの効いた研究室だと思います。普段はみんな机に向いながらも雑談をしたり、昼にはみんなでご飯を食べたり、仲が良く活気のあるラボです。毎年みんなで旅行や遠足にも行きますし、発表会の後に打ち上げなどもよくやります。
 一方でゼミや研究発表にはストイックで、結構厳しい意見を言われることも珍しくありません。でもそこが良いところだと思っています。仲が良いだけの関係というわけではなく、言うべきところは言ってくれるのでしっかりと自分の成長に繋げられるのだと思います。それに単純に意見をもらうだけじゃなくて、「こういうところはちゃんと出来てるんだから、」と正しい部分は正しいと言ってもらえるので、一人一人をよく見てくれているんだと感じることも多いです。
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学生生活
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この大学には面白い形式の授業がいくつかあります。例えば企画経営演習という授業では学生が自分たちで考えた企画が単位になります。過去の記録を見ても、実にいろいろな企画が行われてきたことが分かります。私はこの授業で、高校へ赴き高校生達に実験を教える、研究体験授業の企画を行っています。この授業は高校生にとっては研究に触れる貴重な経験となり、また私達たち院生にとってもプラスになる経験となります。例えば、実験手法を教えた後、それを使ってどのような研究が出来るかということを考えさせたりするのですが、高校生は私達とは違った視点で面白い発想を持っているので議論をしていても驚かされるようなアイディアが多く、とても楽しいです。また一見突飛なアイディアでも、中には自分の研究に活かせるような発想がもらえる時もあります。他にも一風変わった授業もあり、研究以外にも面白いことは多いです。
 それと私は、修士一年で就職活動をしています。内定先は現在の専攻とは関係のない出版関連の企業ですが、内定を頂けたのは研究を通して論理的に考え、説明する力が養われたおかげかなと感じています。答えの無い問題に対してどのように受け止め、アプローチし、解決に取り組むのか、研究とはまさにこの繰り返しです。また日頃から先生とディスカッションを行っていると、話しやすいテンポや相手の質問に対して長すぎず短すぎず的外れでもない的確な返答が自然と身に付いてきます。これらのスキルはおそらくどんな仕事をするにしても必要になると思っています。大学院で学ぶ2年間は研究以外においても有意義なものだと私は感じています。

K. W. くん(博士前期課程、細胞遺伝学研究室)の場合

研究テーマ: ショウジョウバエ♀の性的受容性を制御する神経回路の探索
キイロショウジョウバエのメスは、オスから求愛されると、「逃げる」「蹴る」などの拒絶行動を示しますが、やがて受け入れて交尾にいたります。メスがオスの求愛を受け入れる度合い(性的受容性)は交尾の成功を左右する大きな要因であると考えられています。しかし,性的受容性を制御する神経回路や分子機序の詳細は明らかにされていません。私は、所属研究室の先行研究で見出された「オスをあまり拒絶しないですぐに受け入れて交尾してしまう突然変異体」を中心に、メスの性行動を制御する神経回路や分子メカニズムの解明を目指しています。

研究生活
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「他人は何を考えているんだろう。」「他人の頭の中は一体どうなってるんだ。」という興味に掻き立てられて始めた研究生活。毎日欠かさずハエの世話をしたり、ハエが産まれてくる日を予測しながら実験計画を立てたりと、世界はハエを中心に回っているんだ!という小話を宴会で話せるような貴重な日常を送っています。一日中、いえ、年がら年中ハエのことを考えて行動するなんて、とても贅沢な時間の使い方だなぁと個人的にふと感慨にふけってしまいます。生き物に振り回される(もちろん計画的に)生活というのも、充実していますし存外幸せなものです。あまり科学的ではないかもしれませんが、今でも、求愛と拒絶を繰り返すハエ達を眺めながら「ああ、このメスはあのオスが好みじゃなかったのかな」などと妄想しながら楽しく実験しています。

研究室の雰囲気
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毎日一緒に過ごす研究室の仲間たちとは、ずっと長い時間を共にしているだけあってまるで兄弟のような関係を築いています。楽しい空間を共有することで研究や実験について気軽に聞いたり議論したりできる雰囲気が作られるので、研究を行う場としても良い環境になりつつあるのではないでしょうか。飲み会、お花見や旅行などのイベントで息抜きをしつつ、息抜きに勤しみすぎるとコッテリ叱って道を正してくれる先生に見守られ、一人の学生として、研究者として、そして人間として、存在感を身につける修行が存分にできていると感じます。

学生生活
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私たちの大学院には、院生会といういわゆる生徒会のような組織が存在します。大学院生を中心に、教職員の方々や学部生たちとの親睦を深めるためにスポーツ大会・餅つき大会などを開催したり、時には大学院生の声を教授会議で発表したりすることもあったそうです。
 年末恒例の餅つき大会は院生会役員と委員の先生が共催し、毎年100人以上が参加する一大イベントです。昨年末の餅つき大会の際、役員だった私は同じく役員である同期の大学院生たちとともに会の運営に奔走しました。先生方との日程調整やメニュー決めに始まり、チラシ等による宣伝や段取りの打ち合わせ、はたまた開催当日にふるまう料理の材料である野菜の収穫、あんこ作りなどなど…。研究の合間をぬって集まり限られた時間で議論・相談することを繰り返しました。
 餅つき大会は無事に開催され、新しくメニューに加えた“なめたけ”餅も好評で、参加者にもしっかり楽しんでもらえました。感想として、学生サークル内で開催するイベントと違ったと思う点は、専攻内の様々な立場や年齢層の方と相談し連携するためどちらかというと町内会のような社会組織に似た状況で力を発揮できる点。それから、学生の本分である研究をおろそかにしないよう時間をうまく使う訓練になる点でしょうか。
 このような仕事も楽しみながらできるか苦痛で仕方がないかは人それぞれの考え方によるところが大きいかもしれませんが、どちらにせよ大学院生活に刺激的なスパイスが加わることは間違いありません。

©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University