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生命科学科・大学院生命科学専攻
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田村浩一郎(教授)
生命情報研究センター センター長
連絡先
Tel:042-677-1111(内3725)
Email:ktamura@tmu.ac.jp

研究内容
グリーンバイオインフォマティクスによる分子進化解析
 DNAの塩基配列やタンパク質のアミノ酸配列に生じる進化的変化は生物進化の根源的な原因と言えます。そのため、ゲノムや生物の進化を深く理解するためには、進化過程でこれらの分子がどのように変化するのかを理解することは重要です。
一方、コンピューターやインターネットの急速な利用増加に伴い、現在、ITによる二酸化炭素排出量は100メガトンに及び、アメリカの航空業界全体の排出量に匹敵する量となっています。特にゲノムデータ解析の計算負荷はデータ量の急増に伴って急速に拡大しつつあり、カーボンフットプリントは最早軽視できない状況です。
そこで、計算負荷は小さくても計算精度の高い分子進化解析法の開発を行っています。現在、進化速度が系統によって異なる場合、分子時計をどのように用いて分岐年代を推定するかという研究テーマに力を入れています。
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遺伝子間、系統間で非常に大きな進化速度の差異が見られる zinc finger protein 遺伝子の系統樹(A)でも、RelTimeを使えば分子時計による分岐年代測定が可能になります(B)。x1: ヒトZFX、x2: マウスZFX、y1: ヒトZFY、y2: マウスZFY。
分子進化遺伝学解析ソフトウェア(MEGA)の開発
 ゲノム・プロジェクトにより、大量のDNAやタンパク質の配列データが利用できるようになりました。同時に、それら配列データを解析するための方法理論も発展してきました。そこで、配列データを分子進化遺伝学的方法によって解析するためのユーザー・フレンドリーなソフトウェアの開発を国際共同研究で行っています。
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熱帯産アカショウジョウバエの温帯への適応進化
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 アカショウジョウバエの低温耐性
 アカショウジョウバエは、元来、東南アジアの熱帯・亜熱帯域に分布していましたが、1980年代半ばに関西でも生息が確認されました。アカショウジョウバエは、温帯に分布を広げる際に低温耐性を獲得したと考えられます。
そこで、東南アジア、南西諸島、関西から採集された系統について、1℃の低温下における平均生存時間を測定してみたところ、南西諸島、関西の系統は、東南アジアの系統より長い時間生存することができ、低温耐性が高いことがわかりました。この低温耐性は、生育温度よりも5℃低い温度で慣らす順化によって向上することがわかりました。このことから、低温耐性の原因遺伝子は順化によって発現が促進されると考えられます。
日本の集団は、台湾に由来すると推定されているので、台湾の集団を元に実験集団を作り、低温耐性に対する人為選択を行い、ゲノムの構成が日本集団のように変化するかどうかの進化の再現実験を行っています。次世代シ−ケンサを使って人為選択の前後で集団ゲノムの変化を解析してどのような遺伝子が人為選択を受けたのか、低温順化によって発現量が変化する遺伝子が人為選択の前後でどのように変化するのかを調べ、低温耐性の進化のしくみを明らかにしようとしています。
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ケージ集団を用いた人為選択によるアカショウジョウバエの低温耐性獲得の進化再現実験
アカショウジョウバエのネオ性染色体進化の遺伝的基盤
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 ショウジョウバエ2種の核型
 アカショウジョウバエ(Drosophila albomicans)は巨大なX、Y性染色体を持ちます。これらは、姉妹種(D. nasuta)では常染色体である第3染色体が性染色体に融合してできたものです。ショウジョウバエでは、雄では減数分裂組換えが起きないため、アカショウジョウバエのネオY染色体でも減数分裂組換えは起こりません。減数分裂組換えは突然変異の修復や染色体の多様性創出に有効で、進化的には有利な現象だと考えられています。では、なぜアカショウジョウバエでは、ゲノムの半分以上で減数分裂組換えが起こらないネオ性染色体が進化してきたのでしょうか?私達はその理由を明らかにするため、これらのショウジョウバエのゲノムやトランスクリプトームを解析しています。
ショウジョウバエ種同定のためのバイオインフォマティクス
 ショウジョウバエの種を同定するには高度な専門知識が必要で、普通の研究者にとっては容易なことではありません。そこで、翅の翅脈のパターンに注目し、翅脈の交点間の距離を解析することによって種を同定するwebコンピュータ・プログラムを開発しました。その結果、東京近郊でよく観察される16種のショウジョウバエについて、高い精度で種を同定することに成功しました。
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受 賞
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研究業績

©2020 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University