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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:国際シンポジウム

タイトル: 2019年度 UOS-TMU交換留学 (大場俊弥)
実 施 者: 大場俊弥
実施場所: ソウル市立大学
実 施 日: 2020年 2月 2日
対  象: 首都大学東京の学生7人 + ソウル市立大学の学生

<概要/目的>
 韓国ソウル市立大学の研究室滞在プログラムを利用し、研究室を訪れ研究する。そこでの研究以外にも日本での研究を発表する。

 今回の交換留学では1) 他の研究室に滞在することによって自身の研究の視野を広げること、2) 海外の研究室に滞在することによって英語でのコミニュケーションや議論を行う能力を培うこと、3) 韓国を訪問することによって現地の文化を理解しグローバルな人材育成に参加することを目的とした。

<方法/企画としての特徴>
 ソウル市立大学の研究室に滞在し、そこの研究室で行われている研究をする。実験の説明や結果についての議論を現地の学生と行うことで英語でのコミュニケーション能力を磨く。また最終日に行われる首都大学東京とソウル市立大学の研究経験交換に参加することで、研究発表、議論を行う。

<活動内容/具体的成果>
2020年2月2日
 金浦国際空港に到着後、ソウル市立大学まで地下鉄を利用して移動する。首都大に来た学生がオーガナイザーを務めていたためにコミニュケーションを取るのは容易であった。その日は宿で休息を取りながら夕飯に韓国料理のブッフェに連れていってもらった。

2020年2月3日
 午前中にキャンパスツアーをしてもらい、ソウル市立大学の敷地内を回ってみた。UOSの歴史や様々な施設を紹介してもらった。
 午後からは各研究室に訪問しそれぞれ自己紹介を行った。私の訪れたCell Biology Labはアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患をタンパク質分解経路に着目して研究しているラボであった。研究室内でのモデル生物の紹介、各設備や実験器具などを紹介してもらった。
 その日の夕方には首都大生に対してwelcome partyを開いてくれた。そこではUOSの研究室の紹介をしてもらい、逆に私たちは首都大の生命科学の研究室のことや大学全般のことを簡潔に紹介した。この場で初めて会う学生の方も多く、研究のことだけでなく日常のことや日本のことなど様々な話をしたが、みなさまとても心温かく我々を迎えてくれた。


2020年2月4日
 この日は朝から研究室に訪れ実験をした。Cell Biology Labの学生さんがトランスジェニックマウスのアダルトの脳切片の作成方法を見せてもらった。また前日までに作成していたものを脱水過程を用いてパラフィン固定する段階まで見せてもらった。私はマウスの脳の切片を作成した経験がなかったためとても新鮮なものであった。また別の学生さんがマウスの初代培養細胞を用いて免疫染色したサンプルがあるといったので蛍光顕微鏡を用いて一緒に観察した。その日の夜は研究室の方と一緒に韓国料理を食べにいった。またそのあとに首都大に来た学生さんたちが屋台?のような場所に誘ってくれて近況などを色々と話した。


2020年2月5日
 この日も朝から研究室で実験をした。この日は幼児期のマウスの脳切片を作成する実験を見せてもらった。この日は実際に私もサンプルをもらって実験をしてみた。初めて行う実験ということもあり、多少の不手際はあったもののそれなりにうまくできた。また作成したマウスの脳のスライスを培養液につけてインキュベートするところまで行った。午後からはウエスタンブロッティングを一緒に行った。使用している器具が同じであったため学生さんの実験に協力することができた。また時間が余ったため、学外のデパートに連れていってもらい買い物をすることもできた。夜ご飯はUOSのオーガナイザーの子と食事をした。

2020年2月6日
 この日はソウルツアーだった。バスや電車にのってソウルの景福宮に連れていってもらった。そこでは韓国の街を散策したり、個人的な話になるとUOSの学生が私についてくれたので色々とお話ししながら街を回ることができた。また韓国の民族衣装であるチマチョゴリをレンタルしてくれたのでその衣装で街を回ることもできた。またビルがたくさん並ぶ街並みから少し歩いたところには韓国の伝統的な家々が並ぶ住宅街もありそちらをさんさくすることもできたため韓国の歴史的な文化を体験することができた。

2020年2月7日
 この日はUOS-TMU research experience conferenceがあった。午前中は首都大から福田先生が研究発表をした。午後からは学生の発表だった。私は口頭発表であったため、自身の研究のプレゼンテーションを行ったが、分野外の学生からも様々な意見や質問をいただいたおかげで英語を使用したいい議論ができた。そのあとのポスターセッションでは、先ほどの口頭発表で質問できなかった方が私のポスターまできてくれてさらに追加の質問をしてくれた。またUOSの学生のポスターを訪れることで首都大にはないような分野の研究や私の興味のあるような内容の発表を聞くことができた。夜にはfarewell partyを開催してくれたが多くの学生が参加してくれたためとても大規模なものとなった。

2020年2月8日
 この日もソウルツアーだった。この日は明洞に連れて行ってもらった。明洞ではお昼ご飯を食べて自由に買い物をした。この日は週末であったためか露店が多く道に並んでいた。またそこから少し離れた場所まで行ってソルビンを食べさせていただいた。その後また自由散策で買い物をしたりカフェでお茶したりした。夕方には仁川国際空港まで送ってもらい、そこでお見送りしていただいた。


<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
今回の交換留学では自分が将来使用するかもしれない実験技術を学習したり、英語コミュニケーソン能力のさらなる向上に役立つなどとても有意義なものであった。科学を通じて、また研究を通じて世界に友達ができることは素晴らしいことだと思っている。特に韓国は日本にとっても身近な国であり、友好関係を持つことは非常に重要である。この企画自体はこれからも続いて行ってほしいと考えている。

私はUOSの学生が首都大にきたときにオーガナイザーを務めていたためその時の課題点を生かして今回は参加しようと考えていた。具体的には積極的に英語でコミュニケーションをとること、相手の意見を尊重して、議論すること、個人的に議論するのではなくて周りの人(特に日本人の学生)を巻き込んで大きなグループで議論をすることに焦点を当てた。特に日本人は国外では日本人同士で集まってあまり海外の人々と話そうとしない傾向があると言われている。今回もそのようなことにならないようにUOSの学生と積極的に話すように心がけた。結果としてはたくさんの人と話すことができ色々なコミュニケーションをとることもできた。会話は全て英語だが韓国語を教えてもらったりもして語学にも少し興味を持つことができた。コミュニケーション能力という点においてはいい意味で日本人らしさを捨てることができたと実感している。

研究室の雰囲気は日本の研究室と比べて異なると感じた。例えば研究室にいる学生の数が日本のラボに比べて半分以下であったり、博士課程の学生が多いためか自由に研究している感じがした。私はこれで日本、韓国、アメリカの3カ国の研究室滞在を体験しているわけだが、そのおかげでそれぞれのいいところを反映して今の研究が行えていると感じている。海外の学生は研究に対するモチベーションが高い。そういう学生や研究員の方を見ていると、自分もがんばろうという気になる。修士1年生の段階で海外の研究室の雰囲気を味わえることができたために感謝している。

また今回はシンポジウムで口頭発表の経験をすることができた。普段の学会とは異なり、他分野の学生がたくさんいたために自身のプレゼンテーションも少し工夫した。どのような結果が出たというよりも研究の背景とか問題点に重きを当てることによってその研究の位置付けとかなぜその研究が重要なのかを知ってもらうことに努めた。これは自分の研究が将来的に社会に貢献できるようなものになったときに必要な力だと考えている。いくらいい成果を上げてもそのアウトプットがうまくできない場合にはいい研究とは言えない。つまり研究者には自分で聴衆に合わせたプレゼンテーションができるような力が必要である。そのための力を今回のシンポジウムで養えたのではないかと感じている。また他者のポスター発表では分野外の内容であれば基礎的な質問を聴きやすくそこから話が展開して様々な議論ができる。こんなことを聞いたらバカだと思われるかもしれないと我々は思いがちで黙ってしまうことも多いが、UOSのポスタープレゼンでは顔見知りが多いため基礎的なことでも色々と質問ができていい機会となった。

グローバル人材育成に力を入れているからこそ多くの学生がこの企画に参加したいと思ってくれるようになるといいと思う。そのために参加者からこの企画の魅力を伝えるプレゼンをしてもいいとさえ考えている。
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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