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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:国際シンポジウム

タイトル: 2016年度 UOS-TMU交換留学(出井)
実 施 者: 出井愛理
実施場所: ソウル市立大学
実 施 日: 2017年 2月 5日
対  象: 9人

<概要/目的>
ソウル市立大学にて研究室を訪問し、実験を通じて先方の研究についての理解を深める。また、学生や研究者との交流を通し、研究に対する視野・知見を広げる。またバイオカンファレンスにて、ポスターセッションを行い研究内容の紹介をする。コミュニケーション力とディスカッションの能力を身に付けるともに、互いの国の文化について理解を深める。


<活動内容/具体的成果>
【2/6~2/7 Molecular cell physiology laboratory での実験】
Molecular cell physiology laboratoryにてサザンブロッティングを行った。低酸素(hypoxia)状態で、1日から16日まで培養されている細胞を使用した。その細胞の特定のタンパク質を染色する。初日は、細胞破砕とタンパク質の定量、SDS-pageを行った。2日目には抗体による染色と撮影を行った。撮影機器が実習で使ったことのあるものではなく、より簡易的にできたので、こういった機械もあるのだと知った。普段は行っていない実験だったので、実習を思い出しながら、原理等を再確認した。結果はネガティブだった。しかし、傾向としてhypocia状態1日目から徐々に減少していくが、16日目あたりになると少し増加しているように見えた。実験のほかにも、研究室の人との研究について説明してもらい、ディスカッションを行うことができた。

【2/8~2/9 ソウル市周辺の観光】
 ソウル市にある、景福宮(キョンボックン)をはじめとする歴史的な建造物や昔の町並みを残す地域、発展している都市のひとつである明洞等を訪れた。韓国の歴史や文化、食について学ぶことができた。

【2/10 バイオカンファレンス、シンポジウム開催・ポスターセッションに参加】
 ソウル市立大学にてバイオカンファレンスとシンポジウムが開催された。自分はポスターセッションの参加をした。バイオカンファレンスでは、普段はあまり聞かないミクロの分野の話を聞けた。シンポジウムでは、ソウル市立大学以外の外部講師も参加しており、より様々な分野の話を聞くことができた。ポスターセッションでは、環境微生物についてあまり知らないような、全く異なる分野の学生や先生に自分の話を聞いてもらうにはどうしたらいいかを考えて話した。なかなか重要性を理解しにくいところではあるので、背景やイントロを充実させたが、そこと結果のつながりが弱かったので反省として次に生かしたい。

<感想>
 研究を通じた交流により、日本と韓国を超えた、友人としての付き合いができたと思う。研究と、文化を通じて得られた経験はかけがえのないものとなった。日本での受け入れを通じて考えていたこと、「日本の冷たさ」を韓国へ行ってひしひしと感じたのが正直なところだ。日本の学生は、コスパ重視、面倒ごとには関わらないスタンスがあって、そこで得られるものが自分の欲しいものでないと決め、交流というものにかなりのコストを見ている気がする。韓国の学生はそんなことは全くなく、笑顔で歓迎してくれ、右も左もわからないであろう私たちに声をかけ、とても親切に、そして心遣いをしてくれた。受け入れ側であったから、彼らの気疲れはとてもよくわかって、申し訳なさもあった。しかし、私たちの受け入れがうれしかったからその分お返ししたいと彼らが言っていたのを聞いて、心の温かさに触れた。このような連鎖は、とてもありがたく、そしてそういったことが自然にできるようになりたいと思った。日本は本当に「おもてなし」の国なのだろうか、と問い続けていきたいと思った。
 この1週間で、研究交流を通じて、韓国の文化、食、歴史についていかに無関心で、まだまだ知らないことが多いのだということを痛感した。徴兵のある同年代の学生の意見を耳を傾けたこと、「お隣の国のこと」で終わらせないという意識を持つことになり、自身の視野を広げ互いの国の理解と興味を深めることができた。
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
TOKYO METROPOLITAN UNIVERSITY