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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:国際シンポジウム

タイトル: 2017年度 ソウル市立大学大学院生および学部生の実験補助と交流:植物生態学研究室
実 施 者: 秋元勇貴、志村綱太
実施場所: 松木日向緑地、第二圃場、高尾山
実 施 日: 2017年 11月 20日
対  象: UOSの院生1名

<概要・目的>
研究者は、研究室での研究内容のみならず、関連した内容も研究室外に発信していくことが求められる。発信先は生物学の予備知識を持たない人から、研究に関わる人まで様々である。今回受け入れたUOSの学生は植物についての講義をあまり受けていない。したがって本企画の目的は、以下の3点を設定した。
植物生態学が扱う対象を、基礎的な内容から説明できるようにする。
説明者は自身の研究内容を英語で伝えられるようになる。
説明者と被説明者の双方が問題を認識し、議論できるようになる。

<活動内容と具体的成果>
1日目
本学の大学院の授業に参加して頂いた。一つはプレゼン、もう一つは英語講読の授業である。
普段から、活発に議論を行う授業であるが、普段よりも活発な議論が行えたと思う。具体的には、文化の違いを認識することができた。

2日目
高尾山にてエクスカーションを行った。
登山道を歩きながら説明を行い、特徴的な植物は、実際に触れて観察した。植物のみならず、高尾山の歴史的背景についても概要を説明した。
日本の植生の特徴を学ぶことができた。韓国ではあまり見られないような植物もあったようなので違いも認識できたのではないだろうか。また、高尾山が観光地になっていることにも驚いたようだった。日本人が身近な自然に親しんでいる様子が伝わったと思う。

3日目
第2圃場を見学した。温室内では栽培実験の給水作業の様子を見学し、実験の目的や計画について説明を行った。また、圃場内の設備について説明した。圃場から研究室へは、学内に生息する植物を観察しながら帰った。


<感想/課題など>
私が最も苦労したのは、英語で植物にまつわる話をすることである。日本語であれば、簡単に伝えられるが英語だと単語が出てこなかった。日頃の学習不足を痛感した。
授業では、中国からの留学生もいたので、日韓中での文化的な違いを認識することができた。英語で生物学の問題を考える際には、文化的な背景を認識できると問題をより深く理解できるかもしれない。
日本では常緑樹が街中に植栽されていることは珍しくない。一方、ソウルでは東京よりも寒冷な気候のため、常緑樹があまり植わっていないそうである。植生の違いを学習できたので、エクスカーションの狙いをある程度達成したと思う。英語の文章で伝える練習をもっとしておけば、より面白い内容を説明できたかもしれない。そのために、まずは自身が日本の自然を深く理解しなければいけないと思う。(M1 志村綱太)

通常の英会話もそうだが、特に植物生態学などの専門的な内容を英語で伝えることは想像以上に難しかった。英語の場合、大まかな意味を伝えることができても、言葉のニュアンスを適切に表現することが難しいように感じた。特に今回はお互いが英語のネイティブスピーカーではなかったため、語彙による表現というよりも、身振り手振りや具体例の提示によってイメージを共有できるように努めた。
高尾山でのエクスカーションは、観光シーズンの晴天日であったにも関わらず比較的空いており、余裕を持ったペースで行程を進めることができた。また、「保全」と「開発」、登山者の踏圧が木本に及ぼす影響など、生態系と人間活動のつながりについても観察・議論することができたことは、フィールドの特性を鑑みても良かった点だと思う。
韓国と日本は地理的に近いこともあり、自然・文化について共通している要素もある。その一方で、それぞれの風土に合わせた独自性も併せ持っている。科学という共通の学問体系においては、その背景的情報として世界の様々なことを知る必要があるだろうし、研究によって新たに明らかになることもあるだろう。国際交流を通じて、広い視野を持って真摯に科学と向き合っていく重要性を感じさせられた。(M1 秋元勇貴)


パネルについて解説する様子
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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