TMU logo
生命科学専攻
トップ
「大学院教育改革支援プログラム」:国際シンポジウム

タイトル: 2017年度 ソウル市立大学大学院生および学部生の実験補助と交流:植物系統分類学研究室
実 施 者: 山田旭、中内綾香、荻原弘貴
実施場所: 植物系統分類学研究室
実 施 日: 2018年 11月 20日
対  象: UOS学部生 1名

<概要/目的>
生命科学専攻の交換留学プログラムの一環として、植物系統分類学研究室ではソウル市立大学の学部生1名を受け入れた。3日間の招致の中で当研究室の研究内容の紹介や牧野標本館の案内を行い、英語でのコミュニケーション能力の向上を図った。

<方法/企画としての特徴>
留学生の専門分野が当研究室の研究分野とは大きく異なっていたので、事前に連絡を取り、興味のある内容をピックアップして企画を練った。
1日目は研究紹介と標本庫の案内を行った。2日目は鎌倉でフィールドワークを体験してもらった。3日目は前日に鎌倉で採集したシダの観察を行った。

<活動内容/具体的成果>
1日目:研究室にてパワーポイントを用いた研究紹介を行った。翌日のフィールドワークに備え、シダ植物の形態や生活環を紹介した。また当研究室で扱っているシダ植物のAM菌共生について説明し、シダ植物への理解を深めた。さらに牧野標本庫の案内を行い、日本の著名な植物学者である牧野富太郎や牧野標本館について説明した。20世紀初頭に作製された古い標本や絶滅種の標本を実際に見てもらい、標本の価値や標本庫の意義を感じてもらった。
2日目:キャンパスから電車を利用し、鎌倉に向かった。フィールドワークを行うために、中心部から少し離れた獅子舞ハイキングコース入口のシダ植物の自生地に行った。前日に紹介したシダ植物の形態や生活環を実際に見ながら配偶体と胞子体の採集を行った。まず配偶体が土壁に生育する様子を観察し、その後配偶体と思われるものを採集して保存した。これらは翌日に観察した。次に様々な形態の胞子体を採集し、シダの多様性を感じてもらった。イノデの仲間やナチシケシダ、オリヅルシダなど約10種のシダ胞子体を集めることができた。
3日目:採集した配偶体を観察した。配偶体の翼やクッション層などの形態的特徴を実体顕微鏡で観察し、誤って採集したコケとの比較を行った。また配偶体基部のAM菌が共生していると考えられる領域を光学顕微鏡で観察し、細胞内菌糸の観察を行った。

<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
初日の研究紹介では、専門用語がなかなか出なかったり用語の説明に苦戦したりと、英語で伝えることの難しさを痛感した。しかし双方がネイティブではないため、理解できなかったことについては気兼ねなく質問し合うことができ、努力をすればある程度会話できることも学んだ。2日目のフィールドワークでは、コケと同所的に生育する1 cmに満たない配偶体を探すのに手間取った。留学生にとっては初めて見るものだが、シダ配偶体を見つけるコツやコケとの違いを英語で説明することが難しく、事前に実物を見せるなど工夫が必要だったと反省した。3日目は実際に採集してきたシダ配偶体を実体顕微鏡下で観察し、改めてコケとの違いを説明した。実物があったので、前日よりも丁寧に説明することができたと思う。
留学生との交流の中で研究だけでなく韓国の文化についても沢山知ることができ、充実した3日間を送ることができた。さらにフィールドワーク先の鎌倉では日本の文化に親しんでもらえたので留学生にとっても貴重な経験になったのではないかと思う。本企画を通して、英語でのコミュニーケーション能力を向上させたいと強く感じた。(M1 山田)


鎌倉・獅子舞谷ハイキングコースにてシダ植物の観察
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
TOKYO METROPOLITAN UNIVERSITY