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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:国際シンポジウム

タイトル: 2018年度 ソウル市立大学大学院生および学部生の実験補助と交流:動物生態学研究室
実 施 者: 和田優之介、矢崎英盛、岸村真央
実施場所: 動物生態学研究室、松木日向緑地、高尾山
実 施 日: 2018年 11月 19日
対  象: UOSの学部生1名

<概要/目的>
研究において、自分の研究内容を判りやすく説明する力というものは重要だ。そして、説明すべき相手は自分たちの研究分野に詳しいとは限らない。例えば、今回受け入れたUOSの学生は動物の生態について基本的な事柄以上の講義をあまり受けていない。そのため本企画の目的として、自分たちが扱う対象について興味を持ってもらえるような説明をすること、研究内容をわかりやすい英語で表現することを設定した。

<方法/企画としての特徴>
動物生態学研究室では研究室外で調査をしたり採集を行ったりすることが多い。このような経験はおそらくUOSではあまり行われていないだろう。そこで本企画では、実際に野外に出て様々な動植物に自分自身で触れてもらえるような内容にした。そのために高尾山での自然観察会、松木日向緑地での自然観察と採集を企画した。

<活動内容/具体的成果>
【高尾山自然観察会】
韓国と日本の動植物の違いについて考えてもらう事を目的とした。また高尾山山頂からふもとまでの道のりを、季節の植物や研究室の学生が対象としている動物に着目しつつ進んだ。
【松木日向緑地案内】
日を分けて日向緑地の生物について解説を行いながら実際に緑地を案内した。1回目は主にひょうたん池に生息する動物について、特に外来種であるブルーギルの特徴について解説した。2回目は主に林道を案内し、冬眠前の昆虫の行動やこの季節でも見られる昆虫について解説した。

<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
この企画を通して、研究紹介やコミュニケーションをとるときに大事なものは英語力や語学力ではなく、伝える側の伝えるものに対する理解力や教わる側の興味なんだということを痛感した。特に自分の研究について紹介する際には、相手の興味を引くような話をできず自身の未熟さを思い知った。一方で相手からの質問に答える場合は、実物を見せたり簡単な単語のみで表現したりすれば自分の英語力が多少弱くても伝わるということも実感した。このように私はこの企画から、語学ももちろん大事だが、それ以上に相手の興味を引くプレゼン能力やそれを可能にするような豊富な知識も必要だということを学ぶことができた。
また、この4日間の計画を立てる上で少し準備不足であったことを反省したい。結果としては問題なかったのだが、もしもこの期間中に強い雨が降ってしまったらどうするべきだったか何も考えていなかった。研究室の方々への連絡も遅れてしまい、全体的に準備期間を無駄にしてしまった。この反省を生かして、今後の研究計画や企画の立案の際にはもう少し早めに動き出せるようにしたい。(M1 和田優之介)

筆者は主に、11/22(木)に開催した学内での自然観察会を担当した。参加者は動物生態学研究室と他研究室の受け入れ学生も含めて韓国から4人+和田さんであった。プログラムの目標は、まずは直接参加者自身に学内の自然に直接触れてもらい、多摩丘陵の生物や環境に対する感覚を養ってもらうことをベースにして、その上で生態学的な観点からの解説を行うことに置いた。
午前は松木日向緑地を歩きながら、森の中では、鏡を通して上空に目線を向けながら歩くことで、樹冠の環境を下から観察するアクティビティを実施しながら、森の成り立ちや、照葉樹と落葉樹の特徴の違い、そして薪炭林を中心とする「里山」という概念について解説した。また観察会中に登場した昆虫類について随時解説を行い、特に筆者の研究対象である蛾類に関して、晩秋に登場するニトベエダシャクを通じて、蛾の雌雄の違いや、フェロモンを通じたメイティングの方法、そしてクロスジフユエダシャクを通じて、雌の翅が退化して飛べない「フユシャク類」について紹介した。蛾の紹介には、韓国側の教授の方も飛び入りで参加してくださり、ランダム要素の強いフィールドサイエンスの面白さ、という点で意見交換を行うことができた。その他、越冬中のウラギンシジミやサザンカの葉についた虫こぶなどが、参加者の興味を惹いた。
午後は、11号館前の池を対象にモツゴを参加者に釣ってもらった。モツゴは「クチボソ」という別名で知られる通り小さい口で餌を器用に飲み込む習性があり、魚の習性をよく観察してコツをつかまないとなかなか針にかけることができないため、エサ釣りの対象として人気がある魚である。参加者はみな釣り自体がほぼ初めてということで、最初の1時間ほどは魚に翻弄される様子だったが、次第に習熟して最終的には50頭近くの魚を釣り上げた。これらの魚のアロメトリーを計測・比較することを当初は計画していたが、釣り上げ始めるまでに時間がかかったことと、参加者の盛り上がりが大きく、時間いっぱいまで釣りを続けた結果、計測までは至らなかった。ただ、釣りの仕掛けを介して生きている魚と感覚的に直接やりとりし、またそれを釣り上げるために餌の状態や池の環境、仕掛けを入れる深さなどを試行錯誤することによって、魚の生態について探索する契機とすることはできたと考えている。
私自身は、学外で定期的にネイチャーガイドとしての活動を行なっているが、本格的に英語だけで観察会を実施するのは久しぶりのことであり、コアな部分は英語でも伝えられたという手応えと、具体的な種名などを英語で説明できないもどかしさが並存する感想を抱いた。今後の機会でより効果的に自然に触れる意義を伝えられるよう、英語でどのように日本の自然を紹介するか、今回の経験をもとに模索していきたいと思う。(M1 矢崎英盛)

今回はM1の和田君がオーガナイザーを兼ねていたので、私は主に歓迎会の準備等で席を外す際の待ち時間を担当した。私自身が昨年度ソウル市立大学に行った際、実験準備時間の研究室の方々との交流は韓国の色々な話が聞けて非常に有意義な時間であった。その事もあり、待ち時間は研究の話以外でも話題を振り、早く打ち解けようと心掛けた。
2日目には簡単に自分の研究内容を紹介した後に作業を一部体験してもらった。昨年の韓国での発表のおかげか研究自体は伝えることが出来た半面、作業の指示を英語で行うといった即興の対応は上手くできなかったことが反省点である。
また、2日目にはひょうたん池、4日目にはM1の矢崎さんに同行し11号館前の池で釣りを行った。2回の活動を通してこれらの池が距離的には近いが生息する生物の異なる事を認識してもらった。その理由を一緒に考え、鯉とウシガエルの捕食-非捕食関係やヒキガエルの繁殖地記憶の話など様々な要因が関わている事などを話した。
学会の準備などがあり、昨年度よりも自分自身のやる事が多く、関わる時間としては少なかったが主体性を持って交流に臨めたと感じた。もちろんその理由は昨年度のUOSの皆さんに良くして頂いた事だが、自身の反省点としてはその経験を自分の中だけで留めてしまった事である。来年度以降も二大学間の交流を続け、相手方の学生により良いおもてなし出来るようにするためには、向こうでの体験を周りにも伝えていく事が重要だと感じた。
来年度からは国際交流に力を入れた職場で働くので、今回の経験と反省を上手く活かしたい。(M2 岸村真央)


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