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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 都立桜修館中等教育学校臨海実習 2010
実 施 者: 山田沙佳(神経生物学研究室)、山澤拓実、渡辺健太、岡山唯、熊谷雄人、後藤悠太、染谷春香、福島こよみ(発生プログラム研究室)、石田愛美(神経分子機能研究室)
実施場所: 神奈川県葉山町鐙摺海岸
実 施 日: 2010年 5月 28日
対  象: 同校5年生 生物選択者93名

<協力者>
小林まや(動物生態学卒業生)、本間玲奈(動物生態学研究室)


<概要/目的>
都立桜修館中等教育学校では、毎年首都大学東京の学生と共同で臨海実習を実施している。
海にはほぼ全ての動物門が存在し、生物の多様性を学ぶ上で非常に重要なフィールドとなっている。その中でも干潮時の潮間帯では、様々な種類の生き物が海に潜ったりする事なく、容易に観察できる。
本実習では、磯に生息する様々な動物から藻類まで、自分の目で見て採集し、その生物の生息環境や多様性について学習する。そして、普段はなかなか見られない動物門の動物を積極的に観察する事により、生物の多様性を学んでもらう。

 
<方法/企画としての特徴>
2010年5月26日に同高校で臨海実習に先立ち、事前授業を行っている。
授業では、当日の注意事項、生物の系統分類などの説明を行った。


<活動内容/具体的成果>
◎指導員の事前勉強会(5月24日)
事前授業の模擬授業を行い、内容に不備がないかどうかを指導員全員で確認した。また採集における注意点などの説明を行い、生徒に指導するべき内容を共有した。また、これまで鐙摺海岸で採集した生物のリストを改訂し、実習で見つかる生物の名前や特徴などを確認した。

◎臨海実習(5月28日)
・採集準備(10:00〜11:30)
生徒の到着前に、指導員各自が事前に磯の下見を行い、前もって、生物のいる場所や危険な場所の確認を行った。生徒が到着したら、指導員はあらかじめ決めておいた班(一班8-9人)の元へ行き、お互いに自己紹介をした後、注意事項などの説明を行った。
・磯採集(11:30〜13:00)
班毎に磯に出て、採集を行った。指導員は班員の安全を確認しながら、なるべく多くの動物門を採集するように促した。生徒は初めて見る生物に驚きながらも、非常に積極的に生物の採集を行っていた。自分とは違う班の生徒と、ウミウシなどの珍しい生物を見せ合う光景もよく見られた。潮が最も引く時間に合わせて、沖に出るように指示し、満ち始めたところで陸に戻るように指示しながら、採集を終えた。
・採集後の解説(13:00〜14:00)
班毎に採集した生物をバットに移し、生物の分類・同定を行った。図鑑で調べる事と並行し、指導員による解説を行った。他の班が採集した生物も互いに観察し合い、多くの門にわたる多種多様な生物を観察する事ができた。
観察や簡単なスケッチの後、採集した生物を海に戻させた。


<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
私は昨年の臨海実習に続いて二回目の参加だった。昨年の傾向だと、女子生徒はあまり海に入りたがらず、服装も磯採集に相応しくない生徒が見られたが、今回は全員が積極的に採集を行っており、全員がきちんとした服装であった。指導に関しては、できるだけ高校生にも親しみやすいような話し方や丁寧な説明を心掛けたせいか、こちらがアドバイスした事や生物の説明などを熱心に聞いている様子が見られた。また採集後には班を越えた交流もあちこちで見られ、珍しい動物を見せ合ったり、情報を交換したりなど、非常に有意義な実習になったと思う。
しかし、事前に注意していたにもかかわらず、一部の男子生徒が海で泳いで採集を行ってしまっていた。今回は事故・怪我などはなかったものの、とても危険な事なので、次回からはもっと注意・指導を徹底したい。 (山田沙佳)

私は、今回が初めての参加であったが、教育実習とは違う野外実習ならではの指導の仕方を学ぶことができたと思う。高校生は積極的に採集を行っており、採集した生物について質問を受けることも多かった。しかし、中には生物の観察よりも、採集に熱中しすぎててしまい、観察の時間になっても海から出てこない生徒もいた。野外実習では、普段とは違う環境に舞い上がってしまう生徒も多いので、もっと目的意識をはっきりさせることが必要だと感じた。   (石田愛美)

去年同様、生徒たちは魚やタコなどの見た目が派手な生物の採集に興味が向きがちであった。採集を楽しむこと自体は悪いことではないので、その興味をうまく他の生物種にも向けさせる事が出来れば、もっと有意義な実習になると思った。(渡辺健太)

初めのうち、生徒達は魚や蟹などの大きくて目立つ生物に興味を示していた。しかし、その他の生物にも興味を持つように指導を行ったところそれは改善され、結果的に多様な動物門を生徒達は観察できたと思う。また、私自身も生徒に指導しながら知識の再確認にもなったので有意義な実習であったと思う。    (後藤悠太)

話し方によっては大学生にも難しい生物種に関する知識というものをどのように伝えればわかりやすく、そして興味を持って聞いてもらえるのかを考えさせられる良い機会でした。上記のように、生徒たちは採集することには積極的であったが、観察に関してはよく聞いてはくれるものの質問などはなく積極的に生物種を知ろうという姿勢ではなかった。観察の時間を有意義にするためにも、生徒とのコミュニケーションをもっと積極的にとるようにするとよいのではないかと思います。 (岡山唯)

今回の実習は、私にとって、わかりやすい説明を心がける良い機会となった。私が担当した班では、女子、男子ともにスプーンやバケツを使い、生物採集に熱心に取り組んでいた。事前授業で学び、気に入った生物についてレポートを書きたいという目的をもった生徒や、自分で採取した生物に興味を持ち、大学に入学したら、この種について研究をしたいという生徒もおり、当実習は高校生にとって生物学の興味の幅を広げる有意義な時間であったと思う。しかし、生物の大きさ、分類を知らない生徒が多く、図鑑を使い自分で調べるという機会が少なかったことが残念であった。事前に分類について説明することで、生徒も種について考えながら採取をするので、図鑑で調べる機会ができるのではないかと考える。 (福島こよみ)

この臨海実習への参加は2回目であったこともあり、以前よりも上手に採集活動の指導及びその後の解説が出来たと思う。例年通り、始めは海に入ろうとしない生徒がいたが、実習後半にはほぼ全員が積極的に採集をしていた。ただし、一部の生徒達はウニやヒトデといった簡単に見つかる生物ばかりを集めてしまう傾向があり、最後の観察がいささか味気ないものとなってしまった。生徒達に自主的な実習への参加を促すだけでなく、様々な所に目を向けるように指導することが重要であると、この臨海実習への参加を通して実感した。 (山澤拓実)

臨海実習への参加は初めてだったので、生物採集のアドバイスや採集した生物の説明等、適切に行うことができているか心配だった。しかし、去年も臨海実習のTAとして、参加している先輩方の対応を見て、それをまねするようにしたり、わからないことを積極的に質問するようにすると、高校生への対応がやりやすくなった。高校生は、多種多様な生物を採集し、採集した生物をよく観察していた。また、採集した生物の形態や行動に疑問を持つことができている様子だったので、その点に関して自ら調べるという事後学習ができると非常によいと思った。(染谷春香)

臨海実習ではあまり積極的に参加しない学生もいると聞いていたが、実際はみな積極的に海に入っていき活発な採集活動ができた。個人的には臨海実習への参加は今回が初めてで、なおかつTAとしての活動についても初めての経験であったので、適切に説明することの難しさを知り、自分自身の力が不足していることに気付いた。この反省をもとに今後TAとして指導する機会をいただけた場合に生かしていこうと思う。 (熊谷雄人)
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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