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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 第1回オープンラボ まるごと大腸菌
実 施 者: 藤原弘平、岩舘佑未、太田尚希、城本史寛、成田裕行、橋本知佳
実施場所: 8号館328 生物機器室
実 施 日: 2010年 7月 18日
対  象: 首都大学東京 大学説明会参加者(高校生およびその保護者)

<目的>
 受験生は進路を考える時期であるにもかかわらず、実際の研究や大学という教育機関への理解があまりない。そこで本企画は首都大学東京を志望する高校生を対象に、生命科学コースはどのような研究を行っているのかを分かりやすく伝えることで、彼らが大学生活をイメージする手助けを行いたい。当研究室では大腸菌の遺伝子を扱った研究を行っているので、研究について簡単な説明と、実際の菌を観察してもらう。それによって生命現象や当研究室の研究内容に興味を持ってもらうのと同時に、本学での学生生活を具体的にイメージさせることでさらに受験生の志望意欲を高めたい。また、高校生やその保護者といった、専門知識のない相手に対するプレゼンテーションの練習の場として、学生の発表技術を磨くことも目的である。

<企画内容・成果>
 当研究室の特色について説明するために以下の展示を用意した。
@モデル生物としての大腸菌(ポスターによる説明)
 なぜ大腸菌を用いているのか、どのような目的で研究を行っているのか説明する。
A大腸菌染色体大規模欠失株の作成について(ポスターによる説明)
 大腸菌の生育に必須ではない遺伝子を追求し、染色体を縮小させるプロジェクトについて、その意義と併せて解説する。
Bブルーホワイトセレクションの展示(実際の菌をプレート上で観察)
 遺伝子が欠失すると、表現型にどのような変化がみられるのか実感してもらう。X-Galを添加した培地でlac遺伝子を持つ菌(青色を呈す)とlac遺伝子が欠失している菌(着色されない)を生育させ、表現型の違いを観察してもらう。
C核を染色した大腸菌の展示(顕微鏡による表現型の観察)
 遺伝子改変によって引き起こされる形態の変化を見てもらう。野生株と細胞分裂に必須な遺伝子を破壊した株それぞれ核染色し、顕微鏡で観察してもらう。
D光合成大腸菌の作成について(ポスターによる説明)
 光合成大腸菌を作成する意義や、その方法、現在の進行状況などについて説明する。
Eカロテノイド合成大腸菌の展示(実際の菌をプレート上で観察)
 カロテノイドを合成できる大腸菌や、光合成大腸菌制作過程の菌をプレート上に生育させておく。他生物種の遺伝子を導入し、働かせることで大腸菌がどのように変化するのか観察してもらう。
 来場した高校生とその保護者に当研究室での研究内容についてポスターを用いて説明を行った。ポスターによる簡単な説明の後に、実際の菌を見てもらうことで大腸菌を用いた遺伝学への理解を深めてもらった。また随時、研究についてだけでなく大学生活や受験などについて質問を受けた。

<感想>
予想以上にたくさんの方に来ていただけて、とても嬉しかった。しかし、少数の来場者を想定していたので、説明の順序や空間の作り方などが大勢に対応できなかった。次回は大勢にも対応できるよう、空間の使い方をさらに工夫したい。また、ただ研究内容を列挙しただけのような展示になってしまい、来場者の興味をうまく引きつけられていなかったように感じた。もっと、流れが分かりやすいストーリー性ある展示作りを追求したい。説明の際にはどうしても専門的になりすぎてしまうので、研究内容を簡単に伝えられるようプレゼンテーション能力を磨きたいと思った。(橋本)

生命科学に興味のある高校生らに、研究内容を分かりやすく簡潔に紹介することができた。しかし相手グループ内で知識に差があったため、より一般的な説明に偏ってしまった。相手グループのそれぞれの方に応じて、一般的な説明と少し専門的な説明を組み合わせることができると良かった。また高校生と接したことにより、私自身の向上心に刺激を受けた。また、当研究室における研究についてもう少し詳しく理解する必要があると感じた。(岩舘)

初めてオープンラボをおこなったが、思っていたよりたくさんの高校生や保護者の方が来たので驚いた。生命科学に興味がある高校生、まだ迷っている段階の高校生などいろいろいたが、わかりやすく説明することの難しさがわかった。どの程度まで噛み砕いて説明すれば良いのか自分自身も戸惑っていたので、次の機会にこの反省を生かせればと思った。(太田)

研究を行っていない方々にわかりやすく説明する難しさを改めて実感することができた。また、説明回数を重ねるうちに、だんだんと相槌を打ってくれる方が現れてきたので、上達を感じることができた。1日でこれだけ説明することが滅多にないので、大変充実したものとなりました。(成田)

初めは研究や生物の専門知識の少ない高校生に、私たちの研究を伝える難しさを実感した。しかし、何度も説明しているうちに、相手がどういう部分に興味を持ってくれたか、どこがわからないのか、ということが少しずつ理解できるようになった。また、自分の研究の面白さを言葉で伝える事で改めて実感できたと思う。改善点としては、プレゼンテーションの資料をもっと推敲して視覚でももっと理解できるような資料を作るべきだと思った。(城本)
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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