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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 都立桜修館中等教育学校臨海実習の事前授業2011
実 施 者: 神経生物学研究室:山田沙佳(M2)、秋元優希(M1)
実施場所: 都立桜修館中等教育学校
実 施 日: 2011年 6月 1日
対  象: 同5年生160名

<概要/目的>
都立桜修館中等教育学校5年生の臨海実習に先立ち、磯採集の手法や系統分類学の基礎知識、鐙摺海岸で見られる生物に関するプレゼンテーションを行った。臨海実習の目的は、磯に生息する多くの生物を観察し、主に動物界における構成の理解を深める事である。従って、事前授業では磯採集における注意点の説明、生物の系統についての講義、臨海実習で見られる生物の紹介クイズなどを行った。これにより、事前に学んだ知識を生かして、実習当日に自ら臨海実習の意義等を考えながら採集ができるようになる事が期待できる。

<方法/企画としての特徴>
事前指導は、パワーポイントによるスライドを用いて、中等教育学校の多目的ホールで行った。実際の臨海実習を意識し、スライドは実物の写真を多く取り入れて作成した。特に採集時の服装や危険な生物など、特に知っておかなければならない項目はアニメーションを入れたり、説明時間を長くしたりといった工夫をし、当日安全に実習が行えるように努力した。また、より興味を持ってもらうために、生物はクイズ形式で紹介した。その中で、特に重要な内容は、カラー印刷のしおりを用意する事で、より一層内容を強調した。

<活動内容/具体的成果>
160人の生徒に対して、企画者2人でプレゼンテーションを行った(45分の授業)。
内容は以下の通りである。

1、磯採集の説明と諸注意 (担当:山田)
磯採集の注意(観察の方法、スケッチのメリット、危険な生物の注意、ふさわしい服装など)と、潮の満ち引きの仕組み、当日の潮の状況について。
磯採集のコツと、実習当日の干潮時が、いかに多くの生物の観察に適しているかを説明した。

2、生物の系統分類 (担当:秋元)
系統分類学とはどういう学問かについて。
分類を行うことにより、生物種をより理解しやすくなることや、進化の課程の推測につながる事などを簡潔に説明した。また、写真や図を多用したスライドや、特に重要な部分をしおりに載せるなど、わかりやすさ、理解しやすさを重視した。

3、臨海実習に関するクイズ (担当:秋元)
本実習で例年見られる生物の写真を用い、磯に生息する様々な生物の分類や特徴を、クイズ形式で紹介した。クイズはすべて選択問題にし、解答を別途用意した解答用紙に書き込ませ、最後に正答数に応じてランク付けすることで、生徒参加型のプレゼンテーションを行った。


<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
私がこの臨海実習の企画に携わるのは今年で3回目だったが、今回初めて学年全員が対象となり、160人という大人数の指導を任された。磯採集は多くの生物種が観察できることから、生物学を学ぶ上で非常に有意義な実習である反面、しっかりと磯採集の知識を身に付けていないと、怪我をしたり事故を引き起こしたりしてしまう可能性のある実習でもある。そこで、事前の指導を昨年度よりもしっかりすることを心掛けた。具体的には、危険な生き物を写真付きで紹介し、どこが危ないのか、触るとどうなってしまうのかなど、時間をかけて説明した。採集時の服装も頭からつま先まで細かく説明し、安全に実習を行うためには何が必要なのかを詳しく説明した。そのおかげで、少し生徒達を怯えさせてしまう場面もあったが、最初から最後までメモを取りつつ真剣に話を聞いてくれたので良かったと思う。また、先生からもわかりやすい説明だったと言ってもらえたので、自分のプレゼン能力に自信がついた。
今後の課題は、熱が入りすぎたために予定時間を少し越えてしまったので、時間通りに収められるように、話を上手く組み立てられるように努力することである。(山田沙佳)

事前指導では初めに系統分類についての説明を行い、その後で分類の理解を深めるためにクイズを行った。生徒は興味を持ってクイズ参加しており、中には全問正解する生徒もいた。この指導で動物門における分類(どの動物が門で分類した場合に仲間になるか)を理解してくれたのではないかと思う。磯採集当日も、生徒は多くの門に亘って動物を採集しており、偏った動物門だけを採集していることもなかった。また、採集した動物を並べながらどの動物が何門に属するかを尋ねたところ、大方答えられるようにはなっていた。これらのことからも事前指導の重要性を感じた。自分自身もクイズを作成する際に、生徒により興味を持ってもらえるようさまざまな豆知識を用意して行ったので、改めて気がついたことや勉強になることも多々あった。いろいろな情報を盛り込んだ結果、時間を超過してしまったので適当な時間配分を考えられれば良かったと思う。また、いっぺんに160人を相手に話したことがなかったので、目線やスライドの文字の大きさや位置(下の方が見えないなど)への配慮が足りなかったのではないかと思い返す。しかし大勢の前で話す貴重な経験となった。(秋元優希)
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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