TMU logo
生命科学専攻
トップ
「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 八王子いちょう祭りにおける外来生物に関する展示|動物生態学研究室(企画経営演習)
実 施 者: 齊藤開斗(21846413)、杉山実優(21846416)
実施場所: 八王子陵南公園(いちょう祭り会場)
実 施 日: 2021年 11月 21日
対  象: 八王子いちょう祭りの来場者(約600名)

<概要/目的>
 外来生物は長らく問題になっているにも関わらず、具体的に何が問題なのか、どのような生物が該当するのか知らない人が多いのが現状である。来場者に外来生物問題とは何かを学んでもらい、その具体例を知っていただくことで、将来的には問題の拡大を抑止することにもつながるのではないかと考えた。本展示では八王子いちょう祭りにおいて、外来生物についてポスターや標本、生体展示等を行った。来場者に外来生物問題について学んでもらう機会を通して、社会に知識を還元し、来場者が外来生物問題や自然環境について考えるきっかけになることを目的とする。これは研究者として求められる責任の内、社会的責任と説明責任を果たすことにもつながる。
 期待される成果として、(1)生物を専門としていない多様な年代の方に向けて展示・説明を行う経験を通し、学生側のサイエンスコミュニケーション能力の向上が期待できる、(2)身近に観察できる生物を展示することで、来場者が展示を通して日常生活の生き物のことを考えるきっかけになる、(3)外来生物という様々な要素が複雑に絡み合った問題の知識や考え方を取り扱うことで、来場者の理解が深まり、環境維持・改善を考える手助けになることが挙げられる。


<方法/企画としての特徴>
 本展示は八王子いちょう祭りで生き物サークル東京が出展するブースの一部をお借りして行われた。植物発生生理学研究室の渡辺真史さんが生き物サークル東京に所属しており、展示ブースの一部を使ってそれぞれの研究室の紹介などを行うという企画立案をいただき実現した。

(1)ポスター展示
 ポスター形式による外来生物の説明や紹介を行った。外来生物についての正しい認識を持って展示を見てもらえるよう心掛けた。またポスターの文字が多いと、読み疲れてしまう人もいるので、説明は簡潔にし、図や写真、矢印等を用いて説明することを心掛けた。

(2)標本の展示
 実際に実験や研究に使用されている外来生物の標本を展示した。研究においての標本の重要性なども伝えた。また標本になっていて動かなければ、生き物が苦手な人たちも多少抵抗感なく観察できるのではないかと考え展示した。

(3)生体の展示
 アフリカツメガエルとライギョの生体展示を行った。外来生物とはいえど生き物であり命であるということを伝え、偏った展示にならないように意識した。実際に生き物に触れる体験をしてもらうことで、外来生物という括りになっていても1匹の生き物であることを伝えることを心掛けた。生体を触った後は感染症等防止のため、近くの水道で手を洗ってもらい、手指消毒をしてもらった。

<活動内容/具体的成果>


 生物を専門としていない多様な年代の方に向けて説明する経験を通して、学生側のサイエンスコミュニケーション能力を鍛えることができた。小さな子供に対して説明をするときと、生物を専門としている方と話すときの用語や内容の使い分けなどの訓練になった。
 今回の展示を通して、来場者が日常生活の中で生き物のことを考えるきっかけになったのではないかと考えている。標本を見て、見たことはあるが外来生物だとは知らなかったという方もいて、身の回りにいる生物を取り扱う意義を感じることができた。
 外来生物という様々な要素が複雑に絡み合った問題の知識や考え方を取り扱うことで市民の方々の理解が深まり環境維持、改善を考える手助けができた。特に国内外来生物については初見の方が多く、真剣に説明を聞き、自らの行動について考えていた。

<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
 標本だけでなく生きている生物(アフリカツメガエル)も展示したのだが、思っていた以上の効果があった。特に幼稚園〜小学校低学年の子供たちは、興味があってもまだ実際には触ったことのない人も多く、貴重な経験を提供できたのではないかと感じた。こちらが楽しそうに触る様子を先に見せることで抵抗なく触れてくれたのではないかと思う場面が多く、提供者(指導者)の態度が相手に与える影響の大きさを再確認することができた。一方、提供者の楽しんでいる姿に加えて、知識面を駆使して楽しさを伝える必要がある高学年以上の来場者への対応は、私自身の知識が足りず十分にできなかった。次回以降は参加者の年齢に関わらず興味を持っていただけるような内容を提供できるようにしたい。(杉山実優)

 展示ブースには幼稚園くらいの子どもから高齢者まで様々な年代の方々が足を運んでくださった。特に子どもに対して説明をするときは専門用語や難しい言葉を使わずに、できる限り分かりやすい言葉で話すことを心掛けた。時にはこちらも答えに悩むような予想外の質問が来ることもあり、子どもに展示解説する難しさを実感した。成人以上の方の中には日頃から地域で自然観察をしているような方もいて、専門的な質問をされることもあった。外来生物のこと以外にも地域で見た生き物の種名を聞かれたりすることもあり、様々な生き物について知識を持っておかなければならないと改めて実感した。
次回このような展示の機会があったら今回よりもさらに良い展示を行いたい。(齊藤開斗)
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
TOKYO METROPOLITAN UNIVERSITY