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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 八王子いちょう祭りにおける生命科学専攻の研究紹介|分子遺伝学研究室(企画経営演習)
実 施 者: 岩本大我、菊地望海、千村明日美、原田真生
実施場所: 八王子陵南公園(いちょう祭り会場)
実 施 日: 2021年 11月 20日
対  象: 八王子いちょう祭りの来場者(約1200名)

<概要/目的>
自らの研究の意義を説明し、専門知識を必要とする事象に対して市民にわかりやすく伝える力を高め、私たちが学んできたことを社会に還元することを目的とする。これは研究者として求められる責任の内、社会的責任と説明責任を果たすことにもつながる。
(1)生き物に興味・関心をもってもらい、生き物の多面性や不思議な点について学んでもらう。
(2)都立大生命科学専攻において、どのような生き物で、何を明らかにするために研究をしているか認知してもらう。

「微生物担当の目的」
私たち分子遺伝学研究室では、微生物であるシアノバクテリアを実験材料とし、微生物の環境適応機構を分子レベルで解明することを目的として活動している。シアノバクテリアとは、植物と同様に酸素発生型光合成を行うバクテリアであり、環境中の様々なところで確認できる。湖沼や海洋などの水の中、氷河や温泉、さらには砂漠などの通常生物の生育が困難な環境にも適応している。なぜこのような過酷な環境に耐えることができるのか、そのメカニズムを明らかにするために研究を行っている。
シアノバクテリアを含む微生物は、ミクロな生物であるため、とっつきにくいと考える人も少なくない。しかし目に見えないだけで、微生物は私たちの身の回りに潜んでいる。そのため、微生物が身の回りのどのような場所に生息しているのか紹介することで、微生物を身近に感じてもらい、興味を持ってもらうことが私たち微生物担当の目的である。

<方法/企画としての特徴>
@身近にいる微生物の紹介
私たちの身近にいる微生物についてのA0ポスターを1枚作成し、掲示した。
私たちは、日々の生活の中で微生物から様々な恩恵を受けている。そのため、ポスターでは食品やヒト、昆虫、極限環境の4つのトピックスについて取り上げた。楽しく微生物について学んでもらうための工夫として、イラストやクイズを織り入れた。

Aシアノバクテリアの研究紹介
私たちが普段どのような研究をしているのか、ポスターを活用して説明した。
ポスターは、バイオカンファレンス2021で作成したA0サイズのポスター1枚を使用した。
研究内容について説明する際には、初心者の方でも分かり易いように、難しい単語を使わずに説明するよう工夫をした。

<活動内容/具体的成果>

Figure 1. 掲示したポスター

展示ブース内にポスターを掲示し、来場者に対して微生物とシアノバクテリアに関する研究の紹介を行った。展示ブースには、未就学児からご年配の方まで様々な年齢層の方々が立ち寄って下さり、特に親子連れやご年配の方々が多く見られた。ポスターはイラストやクイズを取り入れたことで、目には見えない微生物に対して興味を持ってもらうことができた。また、現在知られている微生物が0.1%しかいないという点には驚かれる方も多く、微生物に秘められている可能性について伝えることができた。シアノバクテリアの研究を紹介する際には、専門用語をできるだけ分かりやすい言葉に言い換え、来場者の方々に理解してもらえるように心掛けた。
この経験を通して、専門性の高い研究内容をどのように説明すれば相手が理解しやすいのかについて学ぶことができた。

<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
微生物はやはり目に見えないので、いちょう祭りに来る小さい子供などには関心が低い傾向があったが、親御さんなどの世代には意外と興味を示してくれる人がいてうれしく思った。中には、研究について熱心に聞いてくださる親御さんもおり、子供の進路選択の参考として聞いて下さりました。課題としては、ポスターのみの展示であるため、子供の興味をそそることが難しかったことである。そのため、今後このような機会があれば、何か実際に体験できるものを用意する必要があると感じた。(岩本大我)

微生物は私たちの身近なところに数多く存在し、さまざまな恩恵をもたらしてくれている。しかし、一般の方々が日常生活を送る上で微生物について考える機会は少ない。そのため、本企画では来場者に微生物の魅力や面白さについて知ってもらうことを目的とした。当日は、子どもからご年配の方まで大勢の方々が足を止めてくださり、ポスター発表を通じて微生物に興味を持ってもらうことができた。
今後、微生物に関する展示を行う際にはその場で採取したサンプルや食品などからプレパラートを作製し、顕微鏡で観察するとより多くの方々に興味を持ってもらえるのではないかと感じた。(菊地望海)

微生物は動物や植物に比べ一般の方にとって馴染みのないものである。そのため、本企画ではいかに興味を持ってもらうかが課題であった。身の回りの微生物の紹介ではクイズを通し「知らなかった!」や「面白い!」等のリアクションをしてくれた。クイズや写真を用いたポスターを使って、微生物に興味をもってもらうための導入ができたのではないかと感じている。しかし、実際に研究内容についてのポスターを見てくださった方からは難しいとの声もいただいた。自分たちの研究内容を一般の方に面白いと感じてもらうには工夫が必要となることを実感した。今回のような一般の方に向けた企画は自分にはない観点で研究や微生物を考える良い機会であったと思う。今後もこのような少し違う観点から研究を考え、魅力を伝えていけるよう心掛けたい。 (千村明日美)

今回の企画では普段行っている研究内容や生物学に関する知見を一般の人に伝えることが目的であった。この目的を達成するため、企画内容の身の回りに存在する微生物に関するポスターは多くの人に理解してもらえるようにルビ(読み仮名)を振ったり、クイズを作成した。当日は幅広い年齢層の方に来場していただいたが、ポスター紹介を通じて多くの人に微生物について興味を持ってもらえ、その知見を深めてもらうことができたと感じている。普段目にすることのない微生物に興味を持ってもらうために身近な話題(食品加工や体内に存在する微生物)から紹介したことが良かったのではないかと考えている。また、その流れから自分たちが普段実験で用いているシアノバクテリアやその研究内容に関しても興味を持ってもらうことができ、当初の目的を達成することができた。この活動を通して、様々なバックグラウンドを持つ人(子供、生物が好きな人、農家の人など)に対して研究を紹介する際にはその知識量に応じて説明をする必要があると学んだ。今後は、この学びを生かして多くの人に自分の研究に興味を持ってもらえるような発表をしたい。(原田真生)
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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