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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 薬師中学校 水生生物実習2022
実 施 者: 鈴木宏和、津田啓佑
実施場所: 東京都立大学
実 施 日: 2022年 6月 27日
対  象: 薬師中学校 特別支援学級 ききょう組 21名

<概要/目的>
地球上で陸の10倍以上の面積を占める海では、地球上に存在するほぼすべて動物門を観察することができる。海藻の上、磯の岩の下や、海底の泥の中など、様々な場所に動物の多様性を見ることができる。本企画の目的としては、生徒達を実際に磯に連れて行き、彼らに5感を使い磯採集することで多様性を実感し、動物の系統分類についての理解を深めてもらうことが理想だ。しかし、新型コロナウイルスの影響で難しい状況である。そこで、本学南大沢キャンパスの飼育棟の水生生物室にて飼育している水生動物と標本を用いて観察や分類を行うことで、実際に海に行かなくても実習を行うことを企画した。また、海底に生息している動物や関東近郊ではあまり見られない動物も飼育、展示している点も飼育棟の水生生物室で行う大きな利点である。
 企画者は、生徒に動物の特徴や系統分類学について指導することで自身の知識を再確認し、生徒が動物や多様性について興味を持ってくれるような説明を心掛けることを通して指導力の向上を目指す。

<方法/企画としての特徴>
この実習運営には、動物や生徒の安全のため、個々の受講者(中学生21名)への細やかな指導が求められる。本企画で共同企画者(1名)と大学生(1名)、大学院生(2名)の協力を依頼し運営した。実習当日は1班5名程度、全4班の各班に学生指導員1名が付き添い、中学生の採集の指導や安全の確保を行う。

<活動内容/具体的成果>
〇指導員事前打ち合わせ:6/22(水) 13:00-15:30、23(木) 16:00-16:30
 企画者と協力者は役割分担や系統分類についての復習や安全確保の手段、当日の動きを事前に徹底・確認した。
                               
〇実習:6/24(木) 8:00-11:30
1. 準備 8:00-9:40
実習に向けて、標本の展示や海水、淡水、バットの準備、水生生物室の動物に異常がないかを確認した。

2. 生徒と合流、飼育棟へ移動 9:40-10:00
生徒と都立大学南門で合流。合流後の飼育棟にまでの移動の際には、大学や授業、施設の説明を行った。

3. 実習開始 10:00-11:30
到着後、4班のうち2班は前半に水生生物室の中に入り、自身で水槽の中にいる動物を見つけバケツに移し、教室(8号館287室)に移動した。そして、動物の特徴や触ってみた感想などを記録した。また、後半に水生動物の標本の観察を行い、動物の形態的特徴や分類についての復習、簡単な大学での研究内容を伝えた。残りの2つの班は前半後半を逆に行った。
全ての班が水生生物室から動物を教室に運んできた後、14日に行った系統分類を実際に連れてきた動物を用いて行った。結果、最初は見たことのない動物ばかりで苦戦していたが、少しアドバイスを伝えるとスムーズに分類を行えている生徒が多かった。

<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
今回初めて実習を企画するという経験をしたが、自分の準備不足を痛感した。限られた時間の中で、スムーズに実習を行うため、より具体的にイメージする必要があった。また、当日は猛暑により体調が優れない生徒もいたため、より柔軟な対応を求められた。水分補給をこまめに促すなどの対応をすることができた。また、実際に動物を触っている時の生徒が「見たことのない動物ばかりで楽しい」、「この動物持って帰りたい!」などを口にしており、生物について考えるきっかけになれたのではないかと思った。また、今まで人に指導する機会があまりなかったので、今回の実習はとても良い経験になった。これからは、より具体的に当日の実習をイメージし、余裕を持って行えるように意識していきたい。(鈴木)

水生生物を目で見て、実際に直接手で触り、生物に対しての興味や疑問が生まれる有意義な機会を中学生に提供することができたと考える。かわいい、気持ち悪い、おいしそうなど様々な反応を示しながら、嬉々として生物を触る中学生の姿を目の当たりにして、苦労して企画した甲斐があったと思った。こういった経験が、生物への探求の一助となれば嬉しいと思う。課題点としては、時間管理徹底するべきであったと感じている。当日は、水生生物飼育棟の大きさの問題から、水族館組と実習室組の2グループに分けていました。1時間という限られた時間の中で、前半の水族館組に多くの時間を割いてしまい、後半の水族館組の説明やその後の観察の時間が駆け足になってしまった。リハーサルなどを行うなど、もう少し当日の導線を理解、共有する必要があったと考える。これまで、自ら企画し指導をおこなう機会は少なかったため、企画者からしても貴重な経験をつめたと考える。(津田)



水生生物室での様子


実習室での様子
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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