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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 進化遺伝学研究室オープンラボ(2022/11/03)
実 施 者: 熊谷颯之、井手翼、佐藤伶圭、植田泰地
実施場所: 12号館203教室
実 施 日: 2022年 10月 7日
対  象: 大学祭来場者

<企画名>
FLY×FAMILY

<概要/目的>
大学祭という集客型イベントにおいてショウジョウバエの観察や系統樹推定のクイズといった企画を行うことで、多くの人に生物学・進化遺伝学への興味を持ってもらうことを第一の目的とした。加えて、本研究室の研究内容・飼育しているショウジョウバエの紹介を通してショウジョウバエを用いた研究や大学での研究について興味を持ってもらうことを第二の目的とした。これらの目的達成の為に、生物学を勉強していない人でも楽しめるような企画を準備することで、企画者としての企画力向上を図った。

<方法/企画としての特徴>
進化遺伝学研究室として、上記の目標を達成するために以下の企画を行った。

(1) 標本観察&クイズ(系統樹クイズ)
顕微鏡を用いて4種類のショウジョウバエを観察してもらい、その系統関係を推測してもらうクイズを作成した。進化遺伝学研究室で行っている分子系統推定の説明に繋げるため、見た目では系統推定を間違えやすい種を選んだ。また、系統樹を知らない人や子供にも理解できるよう簡潔な説明用のスライドを作成した。本企画を通して、ショウジョウバエの進化がどう起こってきたのかを感じてもらうと共に、本研究室で行っているDNAベースの進化解析の有効性について理解を深めてもらうことを目的とした。

(2)様々なショウジョウバエ、採集道具の展示(ハエの紹介)
8種類のショウジョウバエをそれぞれバイアルに入れ、生きた状態で展示した。また、それらの分布と簡単な説明を記載したカードを作成した。加えて、数種類の採集道具を展示し、採集の様子を撮影した動画(2021年国際研究アウトリーチ企画『Fruit Fly Lab Channel@Youtube』にて作成)をノートPCで映した。本企画では、本研究室で使用しているショウジョウバエを中心に野生種を身近に感じてもらうことを目的とした。

(3)ポスター展示
7月のオープンラボにて作成した各グループの研究紹介用ポスターを展示し、実際にどのような研究を行っているのかについて解説を行った。本企画では、行っている研究や本研究室に興味・関心をもってもらうことを目的とした。


<活動内容/具体的成果>
来場者:252名

アンケート結果(体験後、最も楽しかったと感じた企画に投票していただく方式)
系統樹クイズ:33名
変異体の観察:59名
ハエの紹介:44名
餌の紹介:18名
福笑い:7名
ポスター:12名

全体を通して、円滑に企画運営をすることが出来たと感じる。
観察してもらう際、生態や分布の話をしながら行ったため、小さい子でも熱心に顕微鏡を覗いて観てもらえた。顕微鏡の前に一対一で座って説明や観察をしたので、対話形式で進めることができ、よかったと思う。クイズについては事前に予想していた通り多くの方が系統推定を間違えていたため、その後のDNAを用いた分子系統推定の説明がスムーズに進んだ。ただ、当日になって答えが二通り出てしまう問題が出たため、事前にきちんと確認するべきだった。
ショウジョウバエの展示は生態や分布の話をしながら紹介したため多くの人が興味を持って見ていたと感じた。バイアルをまとめて置いていたので混んでいるときに見たくても見れない人がいたため、次回はある程度離して置くべきだと感じた。採集道具は一部の人には興味を持ってもらえたが、取ったスペースの割にはあまり説明をしていなかったのでもう少し興味をそそるような方法を考える必要があった。
当日の運営は細胞遺伝学研究室と共同の部屋で行ったが、お互いに協力して来場者を待たせることなくスムーズに誘導できていたと思う。

私たち自身の成果として、今回の企画の立案・運営を通して一般の方に研究について興味を持ってもらうにはどうすればいいかをよく考えることができたため、目標としていた企画者としての企画能力の向上は達成できたと考える。加えて、当日は来場者に分かりやすく説明することが出来たと感じるため、発表力も向上したのではないかと考える。



<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
企画、クイズ作成、準備・運営などで企画メンバーと話し合いながら進めることができたと思う。特に自分が主に担当したクイズと説明スライドの作成ではメンバーと何回も意見を交換して小さい子から大人の方までわかりやすいものを作ることができたと思う。今回の企画を通して一般の方向けにわかりやすく伝える能力や企画力が向上したと考える。
(M2 熊谷颯之)

7月に開催したオープンラボの反省点を活かし、企画運営を共同企画メンバーと共に円滑に進めることが出来たと強く感じる。自分が担当した種紹介カードは、小さい子でも理解できるようにレイアウトや文章を工夫した。当日は作成したカードを利用し、種紹介をしている様子も見られたことから、種紹介を補助するためのより良い物を作成することが出来たと感じる。また、カード作成に際して、多くの情報を集める必要があったが、研究室の方々に協力して頂いたため、協力者の重要性を改めて感じた。加えて、当日は状況に対して、全体を俯瞰し、柔軟に対応することが出来たため、目標としていた状況観察力・対応力の向上も達成することが出来たと考える。
(M1 井手翼)

大学祭と同時期に他研究室と同室で開催したため周囲との連携が必至の課題だったが、目的意識を忘れずに企画作りができたと考えている。私個人としては、マニュアル作成を担当したことで企画全体を俯瞰することができ、限られた時間内で何に優先的に取り組むべきかを把握することができた。以前は当研究室では慣例のコンテンツを提供していたため、この度のイチからのコンテンツ作りには苦労することもあったが、結果として一貫性を持ったイベントを開催できた。その成果として、テンプレ化された研究内容紹介に留まらず、来場者一人一人に合わせた柔軟な説明ができたと感じる。また、小学生くらいの子供からご年配の方、昆虫に抵抗を持つ方々など多様な来場者層に合わせて紹介をしたことで、自らの研究を多角的に捉えることができ理解が深まった。この学びを活かし、広い視野を持ちながら今後の研究に取り組んでいきたい。
(M1 佐藤伶圭)

前オープンラボの反省から企画内容を一新したこと、他研究室との共同企画であったこともあり、企画として成立させることに苦労した場面も多々あった。その都度メンバーで話し合いを重ね、細々とした内容の変更はあったものの、当初の趣旨から外れることなく企画を運営することができた。当日は未就学児からお年寄りまで幅広い年齢層の方々が来場した。更に、純粋に大学祭に訪れたような方々から、都立大OB・OGの方々の訪問もあり、様々な背景を持つ方々と接することができた。各々の生命科学への関心や知見の深さなどを探りながら、企画の内容(クイズ)のレベルを調節した。また、スムーズに内容を理解してもらうために、双方向性を意識した会話を行った。こちらからも問いかけることで相手の理解度の現状を把握することができ、円滑なコミュニケーションを達成することができた。今回の経験を活かし、プレゼンテーションなど自分が何かを伝えたい場面こそ、イニシアチブな目線を意識していきたい。
(M1 植田泰地)
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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