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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: オープンラボ・発生プログラム研究室ホヤチーム「たったひとつの卵から」
実 施 者: 森田千裕、大沼耕平、関上由佳、中澤啓一
実施場所: 8号館247
実 施 日: 2013年 7月 14日
対  象: オープンラボ来場者

<概要/目的>
大学全体の学校説明会に合わせて、当研究室で実際に行っている研究を紹介するオープンラボを企画した。この企画を通して、来場者の方にホヤを用いた発生生物学の研究について興味や関心を持ってもらうことが目的である。また、企画者にとっては、一般の方々に研究内容をわかりやすく説明するプレゼンテーション力や、展示内容を考えるための企画立案力を身につけることが目的である。

<方法/企画としての特徴>
●カタユウレイボヤ発生過程の観察
受精卵から成体へ至るまでの発生過程を理解してもらうため、発生段階を追って固定胚を展示した。また、顕微鏡の横に、それぞれの胚の説明を書いたプリントを貼った。幼生・幼若体・成体については生きているものを展示することにより、ホヤが発生過程で形を大きく変えることや、泳ぐことができる時期があることも理解してもらう。
●マボヤWISH胚の展示
特定の遺伝子がはたらく場所を可視化したWISH胚を展示した。また、顕微鏡の横に、それぞれの胚の説明を書いたプリントを貼った。今回は筋肉ではたらく遺伝子・神経ではたらく遺伝子・からだの左側のみではたらく遺伝子の3種類を可視化した胚を用意した。実際の器官や組織ではたらく遺伝子を選んだことにより、生物の発生には遺伝子のはたらきが必要であるということをより実感してもらえたと思う。
●ポスターの展示
当研究室でおこなっている研究についてのポスターを新しく作成し、それをもとに研究の説明を行った。


<活動内容/具体的成果>
来場してくださった高校生や保護者の方々に、上記の展示を用いて、当研究室の研究内容の説明をした。その際に
ホヤとはどのような生物か
なぜホヤを実験に利用するのか
ホヤの発生様式の特徴
どのような研究をおこなっているのか
に重点をおいて説明した。
今回は、@ポスターを新たに作成、A顕微鏡の横に説明プリントを貼る、BWISH胚で可視化する遺伝子を組織のマーカーとなる遺伝子にする、という改善や工夫をした。その結果、簡潔でわかりやすい説明ができたと感じている。また、来場者の方々も、私たちの研究内容について興味を持ってくださったと感じた。

<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
今回のオープンラボのため、新たにポスターを作成した。ポスターの内容やデザインを考えることが意外と難しいとわかった。今後、学会などのポスターを作成する機会があったら、今回の経験を活かしたい。今回は展示内容を変更したことで、よりシンプルな研究紹介ができたと思う。しかし、説明する大学院生の人数が少なかったため、一気に来場者が来た時に対応できないことが何度かあった。基本は1グループに一人の大学院生がついて説明することが望ましいが、大人数の来場者に対しての説明の仕方を改善する必要があると感じた。(森田千裕)

 今回は、新しい展示方法で研究室紹介を行った。その評価と今回の問題点、次回に向けた対応策について述べる。
新しい展示方法とその評価:今回は、ホヤとはどのような生き物か、なぜホヤを使って研究しているのか、どのような利点があるのか、にポイントを絞ってポスターを新たに作成した。このポスターを用いることで、ポイントをおさえた研究室の紹介ができた。来場者には、最初にポスターを見て説明をきいてもらったので、来場者に研究目的・方針の要点を理解してもらえたと思う。
また、今回は新たに、展示物の簡単な説明を記載した“説明プリント”を作成し、各顕微鏡の横に配置した。この説明プリントを使うことで、ホヤの発生ではどのような変化が起こっていくのかを来場者にイメージしてもらいやすくなり、来場者に説明をよりよく理解してもらえたと思う。
今回の問題点:来場者が一度に多く来た時は、全員に説明をすることが出来ず、ただ顕微鏡を覗き、通り過ぎていくだけという来場者が多くなってしまった。
 来場者が多い時の対策として、次回は、口頭で説明する展示部分を絞ってスタッフを配置し、その他の部分は説明プリントの内容をわかりやすく充実させることで、来場者に内容を理解してもらえるようにすればよいのではないかと思う。(関上由佳)

今回のオープンラボでは、従来行ってきた展示内容・展示方法の見直しを図った。これまでの問題点として、@前回まで使用していたポスターでは、記載されている情報が多すぎるため、来場者への口頭説明に役立てられない部分がある、A顕微鏡下で展示している胚の説明は、スタッフによる口頭説明のみに委ねられていたため、来場者が大勢来たときに時間がかかる/対応が難しくなる、という2点があった。そこで、@情報を大幅に絞ったポスターを新たに作成すること、A顕微鏡横に、展示胚についての簡単な説明を記載したプリントを置き、スタッフによる説明の補助とすること、を立案・実施した。
その結果、上記の問題は概ね解決することができた。ただし、「説明補助プリント」については、来場者の立場に立って改めて見てみると、分かりにくく感じる箇所をいくつか見つけたので、次回までに修正したい。今回の経験で、毎回同じ展示内容を使いまわすのではなく、常に検討し作り変えることで、回を重ねるごとにより良い展示を提供できる可能性を感じることができた。
(中澤啓一)

 多くの来場者の方々にホヤという生物について知っていただいたと思う。今回のオープンラボでは、今までよりも紹介する内容を減らした。その甲斐あってか、これまでのオープンラボに比べ、よりホヤの発生過程や発生と遺伝子の関連性について理解を深めていただけたと思う。また、発生過程や実験手法についての説明図もホヤへの理解に大きく貢献したと感じる。これらの図は中々に好評であり、高校生だけでなくその親御さんも食いつき、中には質問する方もいた。
 次の課題は、ホヤや我々の研究についてより理解していただくにはどのような展示が最適であるかを考えることだと思う。今回は、ホヤ胚のサンプリングの都合上特定の発生段階のものしか展示できなかった。そのため、ホヤの発生について一部誤解があったかもしれない。次回からは、紹介したいことについて最も適した展示物を出し、対応したい。
(大沼耕平)
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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