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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 数理生物学勉強会
実 施 者: 冨塚暖史
実施場所: 東京農工大学府中キャンパス
実 施 日: 2023年 5月 11日
対  象: 農工大学森林資源管理学研究室の学生4名

<概要/目的>
生態学を専門とする大学院生(農工大学森林資源管理学研究室の学生数名)を対象に、数理生物学について基礎的な内容を中心とした勉強会を行った。数理的な手法は生態学分野で広く用いられており、これを理解することは重要である。しかし、生態学を学ぶ学生の多くは数学を苦手としていることも多い。本企画では、生態学を学ぶ大学院生に数理生物学の基礎を学んでもらい、基礎的な数理モデルを理解できるようになってもらうことを目的とした。

勉強会では、数理生物学の基本的な教科書である『数理生物学入門 巌佐庸 1990 共立出版』の内容を講義形式で説明した。また、勉強会の最後には簡単な理論研究論文を読んでもらい、参加者の理解度を確認した。

<方法/企画としての特徴>
生態学を学ぶ上で数理的手法が重要であることは理解しているが、特に数学を苦手とする学生にとっては自力で学ぶことは難しい。このような課題を持った学生に対して、本企画を通して数理生物学の基礎的な内容を学んでもらうことで、今後数理モデルを理解する必要があるときに役立つような企画を目指した。

<活動内容/具体的成果>
テキストとして『数理生物学入門 巌佐庸 1990 共立出版』を用いた。

1日目(5月11日 13:00~15:00):第1章 1種個体群のダイナミックス、第2章 種の競争
2日目(5月18日 13:00~15:00):第3章 捕食者と餌のサイクル、第4章 離散時間モデル
3日目(5月25日 13:00~15:00):論文を読んでみよう

当日までに各自で予習を行い、概要を理解してもらった。本書では、式の導出は詳細に議論されているが、その後の解を導くまでの途中計算は大きく省略されていることが多く、独学で学ぶことは難しい。当日は企画者が持参した資料と、必要に応じてホワイトボードを用いた解説を行った。最終日には、勉強会の1日目と2日目の範囲の知識で理解できる難易度の論文(Yamauchi, A. 1993. A population dynamic model of Batesian mimicry. Population Ecology)を参加者に読んでもらった後、論文内容の解説を行った。

最終日の論文精読では、ほとんどの参加者が論文を正確に理解出来ていた。そのため、本企画は参加者が基本的な数理モデルの考え方を身につけることに役立ったと考える。


<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
数理モデルに馴染みのない聞き手に対して数理モデルを基本から説明する、良い機会になったと思う。企画者は、学会などで自身が構築した数理モデルを聞き手に説明する機会がこれまで数回あったが、これらの機会では一方的に説明する形であり、聞き手の理解度を把握することは難しかった。しかし、今回の勉強会では説明が不十分な箇所があると、聞き手が積極的に質問を行ってくれたため、説明が十分な箇所と不十分な箇所を把握することができた。この経験は、今後の自身の数理モデルを聞き手に説明するような機会に活かすことができると考える。

また、最終日の論文精読では、ほとんどの参加者が論文を正確に理解出来ていた。そのため、本企画は参加者が基本的な数理モデルの考え方を身につけることに役立ったと考える。

以上のように、本企画は企画者と参加者、双方の成長に繋がる良い機会であったと感じる。
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
TOKYO METROPOLITAN UNIVERSITY