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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 動物生態学研究室オープンラボ
実 施 者: 荻陽菜子、伊藤文、川本高司、岸野紘大
実施場所: 8号館534室、8号館534室側エレベーターホール
実 施 日: 2023年 7月 17日
対  象: 一般の方々(高校生やその保護者など)、約170名

<概要/目的>
 オープンラボに来場された方々に、生物の生態と研究の面白さを知ってもらう。また、自分の研究内容を、専門知識のない人や専門分野外の人を対象に説明するため、今後学会で自分の研究について発表する際の良い経験になる。

<方法/企画としての特徴>
@研究紹介のポスター作成と展示
 各自の研究内容についてそれぞれA0ポスターにまとめ、掲示した。当日はそれを用いて研究内容の詳細を説明した。

A研究材料の展示
 それぞれが研究に用いている生物の生体を展示した。生物ごとにブースを分け、来場者にその生物を用いてどのような研究を行なっているか説明した。
 展示した生物は次の11種である。カブトムシ、ハチジョウノコギリクワガタ、ノコギリクワガタ、オオシロアリ、トゲオオハリアリ、ヤマヨツボシオオアリ、ウメマツオオアリ、オオツノコクヌストモドキ、コクヌストモドキ、アイフィンガーガエル、ヤエヤマアオガエル。

B研究室ツアー
 分子実験室や、生物を管理している部屋、学生居室などを案内した。普段の研究生活の様子を説明しながら案内した。



カブトムシ、クワガタ2種



アリ3種



シロアリ、コクヌストモドキ2種、カエル2種



ポスター説明の様子


<活動内容/具体的成果>
【荻】「カブトムシの角発達を引き起こすインスリン様ペプチドの探索」をテーマに、展示用のポスターを作成し、研究内容を説明した。また、自分で野外で捕ってきたカブトムシ成虫を展示した。このとき、角や体格が大きい個体と、非常に小さい個体の2個体を主に用いて実験内容について説明した。実物のカブトムシ成虫に興味を持たせてから、角のサイズについて問いかけて関心を研究内容へと誘導し、角発達とインスリン様ペプチドの関係について説明した。成果として、生き物が好きな人だけでなく、虫が苦手な人にも研究や昆虫に興味を持って頂くことができた。また、人に説明することで、自分自身も研究内容への理解が深まり、学会に向けて以前より成長したのではないかと思う。

【伊藤】2023/7/17に行われた動物生態学研究室オープンラボ。来場者の方に弊研究室で利用している生物を実際にお見せし、研究の内容について説明した。また、研究室の住環境や、生物の飼育環境も希望者方にはお見せした。成果として、弊研究室の研究内容についての理解を深めていただけたこと。自身の研究内容を分かりやすくお伝えする力の向上などが挙げられる。

【岸野】7/17に実施したオープンラボでは、動物生態学研究室で飼育している昆虫や、主に学生が行った研究などについて、展示・解説を行った。来場者は、都立大の受験を考えている高校生とその保護者が殆どであった。カエルやクワガタムシ、アリなどの生態やこれまでの研究の知見について説明した。また、実際に我々が行った研究について、ポスターを用いて解説を行った。

【川本】
研究に使っているヤマヨツボシオオアリ、過去に研究に使用されていて現在アリの餌にもなっているオオツノコクヌストモドキを主に生体展示した。またそれぞれ2種について、社会構造や生態が異なったり、武器形質などが無い近縁種であるウメマツオオアリとコクヌストモドキについても生体展示を行い、比較できるようにした。生体は肉眼では特徴的な形態がわかりにくく人の目を引きにくいため、拡大した写真を作成し、生物の種名や生態学的特徴についてのキャプションと共に展示した。また、自身が行っている研究についてA0ポスターを作成し、掲示した。
来場者には展示されている生物について補足的な説明や質問への対応を行い、更に興味を持ってくれた方には研究内容について具体的な説明を行った。
他にも一部の来場者には学生のデスクがあり研究も行っている部屋や、主にアリを飼育している恒温室及び飼育している生物の紹介も行った。
高校生や保護者に対し、生態学やその研究例や研究室の雰囲気について知ってもらうことができた。また、生物についてある程度の興味、知識がある来場者は生体展示や恒温室の案内に対し反応が良く、楽しんでもらえたように思う。準備や研究の説明をするにあたり、自身の研究について再びまとめる良い機会にもなった。

<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
【荻】嬉しいことに、来場者数が予想をはるかに上回る結果となり、忙しい一日となりました。弊ラボに興味を持って来て下さった方々の多くが、小さい頃にカブトムシを育てた経験があったり、虫に関して似たようなエピソードを持っていたりと、虫好きの人達はやはり似たような経験をするものなのだと知り、面白いと思いました。また、高校の生物部に所属し、既に生き物の研究を進めている高校生も多く見られ、私の研究内容だけでなく、彼らの研究内容についてもディスカッションすることができ、互いに有意義な時間となりました。またこのような機会あれば、次はクイズを設置したり、ゲーム要素を入れることで、様々な人が興味を持って楽しめるような仕掛けを用意したいと思いました。

【伊藤】予想以上に大勢の方に来ていただけました。皆さん、弊ラボの研究内容について興味深く聞いていただけたようで幸いです。また、都立大に受験予定の高校生とそのご家族の来場者が多く、都立大の魅力の一端をお伝えできていれば嬉しいです。

【岸野】来場者のほとんどが、受験を考えている高校生だったため、今回の展示の主軸であった、主に大学院での生活や、研究内容などは、来場者の興味と乖離していたかもしれない。しかしながら、元々昆虫に興味がある高校生も数人来場していただけたことや、一部では受験の相談に乗ることも出来たので、開催したことは、有意義だったと思う。

【川本】
自分がよく知る生物や研究について来週者と話すのは楽しかった。ほとんどの人はアリについての知識はあまりなく、口頭により説明すると関心を持ってくれることが多かった。全体として、展示していた生物種の知名度や分類が幅広かったためか、生体をなんとなく見てもらうだけでも様々な層に楽しんで貰えたように思う。また、研究室の部屋や恒温室の見学を取り入れることで、大学や当研究室の雰囲気や具体的なイメージを知ってもらうことも出来たと反応を見て感じた。
生体展示だけでなく研究室を実際に見てもらうことが出来たのは立地として良かったと思う。一方でエレベーターホールは日が直接差し、冷房が効かない上に過去の火事により照明が付かないため、来場者や自分達共に心地良い環境とは言えなかった。また、逆光により展示や印刷した紙が見にくいと感じることもあった。パーテーションなどで日を遮ることである程度改善できた可能性もあるが、今回は借り忘れていた。パーテーションがない事で研究発表ポスターを貼る場所にも苦労したため、展示物の配置を想定するなど、事前の計画性が不足していたと思う。
研究の紹介として通常の学会ポスターを使用したが、これはあまり来場者の興味を引けなかったように見えた。このようなポスターは普段から研究に触れたり学会に参加したりしていない限り見慣れているものではなく、難しく感じるのかもしれない。そのため、研究内容にまで興味を持ちポスターを読む人は少数で、解説を求められることも少なかったと感じた。研究内容の紹介については学会発表と同様の形式である必要はなかったかもしれない。例えばコマ割りやイラストなど多用し、注目した点や結果などを簡潔に纏めたものを生体とセットで展示するなどが考えられる。自分は口頭で、要約しつつ解説することがかなり苦手であり、今回もそうであった。例にあげたような簡潔な研究紹介をつけておくことで、補助的な口頭での解説も簡単になると思われる。
総じて来場者はオープンラボを楽しんでいたように見えたが、具体的な感想などがわからないこともあった。主催側からわからない改善点もあると思われ、内容の改善のための明確な指針にもなる可能性があるため、アンケートを実施しても良かったと思う。
課題、改善点は沢山あったが、これらの気づきを含め自身の経験となり、来場者に楽しんでもらいつつ、大学や研究室選びのための有意義な情報を提供出来たと感じたため、本企画を開催してよかった。
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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