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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: ニワトリ胚観察実験 −日本生物教育会−
実 施 者: 発生プログラム研究室:栗下大三(M2)、塩入直也(M2)、志村智(M1)
実施場所: 東京都立新宿高校
実 施 日: 2013年 8月 8日
対  象: 高校の生物教員20名

<概要/目的>
 本企画は、発生プログラム研究室の福田准教授が日本生物教育学会で実施する講習会の一貫で、高校教員を対象にニワトリ胚の観察実験を行った。
 ニワトリ胚の発生は、高等学校の生物の授業で教材としてあまり取り上げられていない。しかし、その発生様式は哺乳類のものと極めて良く似ており、観察するのに優れている。本企画を通して、ニワトリ胚の正常発生を胚体外で観察する方法、および胚体外で培養する方法(ニューの培養法)を習得してもらうことが目的である。

<方法/企画としての特徴>
ニューの培養法によって、胚体外で実体顕微鏡によって非常に見やすい状態で観察することができる。また2日胚では脊索、脳、眼など、発生の授業でよく用いられる器官や心臓の拍動なども観察することができる。
 この企画を通じて、ニワトリ胚体外培養技術、およびニワトリ胚観察法が、今後高校の実習の教材として活用されるようになることを期待する。また上記内容の企画を実施することにより、企画者自身の説明能力、情報発信能力の向上を図る。

<活動内容/具体的成果>
〇実験の準備(8/6,7)
〇企画実施(8/8)
・実験に用いる器具・試薬の準備
・卵の解剖(胚の取り出し)の実演
・先生からの疑問・質問等に答える
・器具の片づけ



卵の解剖の実演の様子


福田准教授による講義の様子

<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
今までのアウトリーチでは高校生を対象に行ってきたため、高校教員が対象であった今回の企画はとても刺激的であった。取分け心に響いたのが、我が国の高校教員がどのように授業や実験を考え、それを元にどのようなメッセージを伝えるのかである。教育はすべてを教える事ではなく、新たな物事を生徒と教員の両方が同時に気づくきっかけである様に感じられた。次に、実験操作を伝えるテクニカルな面に関しては、極めて熱心に質問をする方がとても多かった。経験しないと伝える事のできない”技”を丁寧に分かりやすく教えるのに少々苦戦したが、最終的に全員が手法を身につけそれぞれの学校でもニワトリ胚を使った実験を実施できるレベルに至ったと考える。(栗下大三)

高校生を対象にした企画は何度か行ったが、教員を対象にしたこのような企画は初めてだったので非常にいい刺激になった。高校生に比べて先生方はモチベーションが非常に高く、実験手法を実演している時も様々な面から見られるので行う身としても気が引き締まった。また非常に多くの質問をされ、中には我々の研究にも関係するような非常に深い議論になることもあった。それだけに終わった後の充実感も大きく、今後この日の経験を通して多くの高校で意義深い実習が行われることを期待したい。(志村智)

高校生に指導するための技術を身につけるための講習だったため、高校生を対象とした実験では出てこないような質問が、教員の方々から多々あったことが印象に残っている。自分が理解している以上のことは生徒に伝えることはできないので、実験操作の一つひとつの意味を理解しながら、確実に実験を進めていくことが重要であると、本企画を通して再確認した。高校生物の教材として、ニワトリ胚を用いた発生の観察実験をはじめ、それを発展・応用させた実践が今後更に拡がることを望む。(塩入直也)






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