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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 高校生による研究成果の中間発表 -埼玉県立熊谷西高等学校アウトリーチ-
実 施 者: 栗下大三、志村智
実施場所: 埼玉県立熊谷西高等学校
実 施 日: 2013年 9月 7日
対  象: 熊谷西高等学校の生徒16人

<概要/目的>
 本企画は、発生プログラム研究室の福田准教授がSSH『スーパーサイエンスハイスクール』に指定されている熊谷西高校で実施する講義の一貫として行われる。この企画では高校生が自ら研究を計画し実験、発表する事で課題発見能力や論理的な思考力などを身につけること、また研究を通して生物学に興味を持ってもらうことを目的としている。

<方法/企画としての特徴>
 前回前回までの講座では、ニワトリ胚を用いた実験手法を教え、その手法を元に高校生が自分たちで研究計画を立てるための指導・補助を行ってきた。今回はその研究計画に基づいて高校の夏季休業期間に行われた実験結果について全体で発表・議論を行う。その後、行われた議論の内容を踏まえた上でどのような実験や情報が不足しているのかを考えてもらい、10月の研究報告発表会までの計画をもう一度練り直す。

<活動内容/具体的成果>
 まずはじめに高校生の各班が夏休み期間に行った実験成果と今後の予定についても発表してもらい、質疑応答を行った。その後、発表後には他の生徒から出た質問や院生・教員のアドバイスなどを踏まえて一ヶ月後の発表会に向けての実験計画を練ってもらった。その際に、発表中にどのような情報が欠けていたのか、また実験デザインについてなどの助言を行い、研究計画をまとめられるよう指導を行った。
 発表後の議論が初期に比べると非常に活発になっており、自主的発言力の向上が見られた。また質問内容も核心をついたものが多く、批判的に発表を聞き上手く論理を組み立てられていた。


<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
 発表後の議論では院生や教員の前にまず高校生からの質疑を行うのだが、非常にいい議論になっていたと思う。後で自分が聞こうと思っていたことも高校生から次々に聞かれていたり、非常に鋭い質問も出ていたことから、理解力や思考力はかなり向上していることを感じた。発表については、テーマの背景や実験手法などの情報の出し方、実験結果の解釈など不十分なところも多く見られたため、発表技術についてももっと指導することが必要だと思った。今回までの企画で考えて計画する技術などは身についていると感じたため、今後はそれをどのように発信すれば相手に理解してもらえるかというアウトプットの技術について指導することが課題であると感じた。それでも高校生としては非常に高度な技術や能力を身につけられていると思うので、そのような成果が見られるのは嬉しい。(志村智)

 今回の企画では、高校生によるゼミナール方式の議論がメインイベントであった。過去4回に渡り熊谷西高校でアウトリーチを行ってきたが、始めの頃と比較して著しく質問能力が向上しているという感想を受けた。自ら実験を行って、理想や課程と異なる結果がでた場合に、何が問題なのかを考える力が養われていると考える。ディスカッションの後に、今後の研究方針をそれぞれの班で話し合ったが、ここでも質問に対する対策や改善方法等をしっかり考えており、考察能力向上が図れたと思う。
 また、プレゼンテーションでは図やグラフを使用しない班が多く、オーディエンスを意識した発表になっていなかった。それぞれが分かりにくい発表を受け、「これはだめなんだ。こうした方が良い」等という考えを持ってくれていれば幸いである。(栗下大三)
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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