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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 高校生による自主研究 -長野県立伊那北高等学校-
実 施 者: 栗下大三、志村智
実施場所: 長野県立伊那北高等学校
実 施 日: 2013年 9月 28日
対  象: 伊那北高校の生徒 約15名

<概要/目的>
 本企画では2日間という短いスケジュールながら、研究計画を立てて実験をデザインすることに始まり、実際に実験をし得られたデータをまとめて発表するまでの、実際の研究活動を高校生自ら考えたテーマで行った。この一連の活動を通し、科学的な思考や論理性、計画の立て方、実践的な発表技術などを学ぶことが目的となる。

<方法/企画としての特徴>
 伊那北高校の生徒たちはこれまでに、ニワトリ胚を卵から取り出し、卵の外で培養する手法を習得している。また、培養することのできる初期胚の観察も既に行っている。そこで得られた知識や手法を元に、高校生自ら研究チームを組み、各組で研究テーマを決めてもらう。また、テーマとなる疑問を明らかにするためにはどのような実験が必要か、その実験にはどんな材料が必要かなど、研究計画から実験デザインまで全てを高校生が決める。その後実験し、得られたデータをまとめて研究発表を行う。発表後には高校生同士の質疑応答を行い、その後大学院生や教員を交えての議論を行う。

<活動内容/具体的成果>
 企画者は直接的に何かを指示するのではなく、高校生の自主的なアイデアに対しサポートを行った。また今回は、以前習得した卵外培養に加えてさらに各班で実験操作を行うため、それらに対する技術的な指導をした。発表後の議論ではなぜそのような研究をしようとしたのかや目的を達成するために足りない実験を考えさせるなどの他にも、実際のデータの出し方や効果的なスライドの使い方など実践的な発表技術の指導もすることができた。

<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
 以前に胚の培養方法などを指導した時は、高校生らしい活発さが見られずに議論もほとんど膨らませることができなかった。そのため今回も非常に心配していたが、高校生が答えやすいように聞いたり、深く踏み込んだ内容を質問すると非常に良い答えを返してきたり、逆に鋭いことを聞いてくるなど有意義な議論をすることができた。今回の企画を通して考えたことは、高校生も非常にいい考えを持っていることが多く、よく観察もできているのだが、それらを自主的に発表する意識が足りていないのだということだ。今後このような企画では、どのようにすれば話しやすい空気を作ることができ、生徒の自主的な発言や、考えの発信を促すことができるかが大きな課題であることを強く実感した。(志村)
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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