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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: オープンラボ・発生プログラム研究室ホヤチーム「たったひとつの卵から」
実 施 者: 中澤啓一、大沼耕平、関上由佳、森田千裕
実施場所: 8号館247
実 施 日: 2013年 11月 3日
対  象: オープンラボ来場者

<概要/目的>
大学祭に合わせて、当研究室で実際に行っている研究を紹介するオープンラボを企画した。この企画を通して、来場者の方にホヤを用いた発生生物学の研究について興味や関心を持ってもらうことが目的であった。また、企画者にとっては、一般の方々に研究内容をわかりやすく説明するプレゼンテーション力や、展示内容を考えるための企画立案力を身につけることも目的であった。

<方法/企画としての特徴>
●カタユウレイボヤ発生過程の観察
受精卵から成体に至るホヤの発生過程を理解してもらうため、各発生段階の固定胚を顕微鏡下に展示した。各顕微鏡の横には、胚の説明を記載したプリントを置き、説明の補助とした。幼生、幼若体、成体については生体を展示し、ホヤの幼生が泳ぐことや、発生過程で形を大きく変えることをより実感してもらえるように努めた。

●WISH(whole mount in situ hybridization)胚の展示
発生と遺伝子の関わりを理解してもらうために、胚のなかで特定の遺伝子が発現している箇所を可視化した、WISH標本を顕微鏡下に展示した。今回は、筋肉細胞で発現するアクチン遺伝子と、左右非対称に発現するノーダル遺伝子をそれぞれ可視化した胚を用意した。

●ポスターの展示
ホヤや、ホヤを用いた研究内容についての説明を記載したポスターをもとに、大学院生が研究の説明を行った。

<活動内容/具体的成果>
来場者に、上記の展示を見てもらいながら、
・ホヤとはどのような生物か
・どのような発生様式なのか
・なぜホヤを研究対象としているのか
・どのような研究をおこなっているのか
について、大学院生が説明した。
今回は、来場者が大勢きたときに混雑しないように、前回よりも展示数を若干絞り、配置を工夫した。また、一部の説明プリントの内容を修正した。
多くの方に興味をもってもらうことができ、広くホヤ研究についての情報を発信することができた。また、一般の方々に発生生物学を理解してもらうために、企画者には日頃よりも丁寧な説明が要求された。これは説明能力の向上につながり、更には自らの知識を整理して再確認する良い機会となった


<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
今回は、前回よりも展示数を2つ減らし、配置を改善したことで、来場者が大幅に詰まってしまうような事態はなかったと感じている。しかし、10個の展示物について説明することは4人の院生でもかなり負担が大きいと感じた。来年度は、今回よりも少ない人数の院生で企画を遂行しなければならない可能性があり、今回と同じ展示ではさらなる困難が予想される。単にホヤの発生を全て見せるのではなく、紹介したいことを厳選して展示数を絞るなど、改めて展示内容を抜本的に見直す必要があるだろう。(中澤啓一)

 今回は、大学祭でのオープンラボだったので、来場者は、幼児やその家族など、高校生以外の年齢層の人が多かった。来場者によって、実験手法の説明を分かりやすく言い換えたり、詳しく説明したり、対応を変えることで、展示の最後まで興味を持って見てもらえたと思う。しかし、来場者が一度に多く来た時は、スタッフ数が足らず、全員に説明・案内を十分にすることが出来なかった。案内を受けていない来場者は、展示の順序に関係なく顕微鏡を覗き、通り過ぎていくだけであった。この状況は、前回以前のオープンラボ時にも起きていた。原因として以下のことが考えられる。
・ 展示の順序があることを来場者に明示していなかった。
・“説明プリント”の内容で、来場者には分かりにくい部分があった。
・順序通りに進まないと、面白さが伝わりにくい展示方法だった。
 来場者に対応するスタッフの人数は、今以上に増やすことができない見込みなので、解決策として以下のことを考える。
・口頭で説明する展示部分を絞ってスタッフを配置する。
・説明プリントや配布プリントの内容をより充実させ、来場者が読んだだけでも、展示の内容が伝わり、興味をもってもらえるように工夫する。
 次回は上記の解決策を共同企画者に提案し、より多くの来場者に、研究に興味をもって内容を理解してもらえるオープンラボにしたい。(関上由佳)

大学祭時のオープンラボということで、大学説明会時とは異なり、来場者の年齢層がさまざまであった。展示物は前回より減らしたが、それでも来場者全員に満足した説明ができたとは言えなかった。一番最初に改善すべき点は、展示物(顕微鏡)の数をさらに減らすことである。ホヤの正常発生を、通して理解してもらうことは重要であるが、初期胚についてはさらに数を減らし、減らした分についてはプリントのみでの説明でもよいのではないかと思う。実際に生きている幼生や幼若体の展示は、来場者の多くが新鮮な反応を示して下さった。またWISH胚を展示することで、説明時間の増加は伴うが、実際に研究室で行っている実験技術を紹介できるという点では、生物学に興味のある高校生にとってより興味を深めてもらえるトピックになると思う。この二つについては、今後も展示を続けていってもらえればと考えている。(森田千裕)

©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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