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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 細胞遺伝学研究室オープンラボ 『I can fly ―ハエの世界へようこそー』
実 施 者: 大橋ひろ乃・岡島美怜・相澤研介・嶋田直人・渡邊一輝・金美松・佐藤帆浪・松村茉梨子
実施場所: 首都大学東京 南大沢キャンパス 8号館 4階東側エレベーターホール
実 施 日: 2014年 7月 20日
対  象: オープンラボ来場者

<概要/目的>
当研究室では、遺伝学における実験動物として教科書に登場するキイロショウジョウバエを用いて実験を行っている。本企画では、遺伝学の基礎と私達が行っている最先端の研究をオープンラボ来場者(主に高校生)に説明する。
企画を通して「遺伝学・生物学への興味」と「大学での研究生活についての具体的なイメージ」を高校生に抱いてもらえるように活動した。

<方法/企画としての特徴>
1.突然変異体を探そう
遺伝子の機能解析には、対象とする遺伝子に突然変異が生じた個体が用いられる。そのため、多くの突然変異系統が存在するキイロショウジョウバエは、遺伝学の研究において優れたモデル生物である。
本企画では、本学で飼育している様々な突然変異系統と野生型系統を参加者に比較してもらい、遺伝子の変異が表現型にもたらす影響を観察してもらった。
2.ハエの脳を観察してみよう
当研究室ではキイロショウジョウバエの脳を用いた研究が行われており、これらの研究は動物の複雑な脳機能を解明するため重要である。
本企画ではハエから取り出した脳の観察や、脳で特定の神経細胞のみを蛍光させた写真の展示を見せながら研究について説明を行った。
3.ポスター展示
細胞遺伝学研究室で行われている研究の概要についてポスターを作成し、説明した。
4.進路相談コーナー
進路相談コーナーを設け、高校生を対象に受験勉強や進路決定などについて個別相談を受けた。

<活動内容/具体的成果>
高校生に研究や展示についての説明をした際には、それらに関連して積極的な質問を受けることが度々あった。キイロショウジョウバエや遺伝学分野の研究を目の当たりにした高校生は、大学での研究や生物学について理解が深まったのではないか。また、企画者側も展示での説明や疑問への返答を通して、自分たちの研究の意義を再確認することができた。



<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
・主な来場者が高校生であると想定していたので、ハエの神経系を取り上げた企画などより実際の研究発表に近い内容を用意した。その結果、多くの質問を受ける機会があり有意義なコミュニケーションをとれたと思う。(M2相澤)
・変異体探しはマンネリ化している。最近の高校生は学校でショウジョウバエを扱ったことがある者も多く、「ああ、あれね」という残念なレスポンスを得ることが増えてきたと感じる。そもそも研究室の研究テーマともあまり関連がなく、ただちょっと見た目が違うハエの死骸を見せるだけでは大学が世間に公表するものとしてお粗末すぎる気がした。 さらに、一部の発表内容が専門的すぎて高校生やその保護者に十分に楽しんでもらえたとは思えない。例えば、研究ポスターを紹介すること自体は良いが、紹介者が書いてある専門用語をただ話しているだけであまり興味を引こうという気概が感じられなかった。ハエの脳やその構造体を紹介するコーナーも、構造体の紹介が先行してしまい意味の分からない英語の名前ばかりが話題になり完全に飽きられてしまっていた。せっかく生の研究を紹介できるチャンスなので上手く工夫して伝えられないものか。課題は多かったが、オープンラボに来た高校生から「楽しかった!」「首都大に行きたくなった!」等の声をもらうこともあり、大学の宣伝や研究の周知において少しは効果があったという実感も得られた。(M2渡邊)
・対象者が高校生ということもあり、なるべく専門用語は使わずに現在の研究内容を説明した。私自身は通常に使用していた単語が相手にとっては難しくうまく伝えることができない場面があった。相手と同じ目線にたち、言葉を選んでコミュニケーションをとることの重要性を再認識した。また、進路相談で保護者と受験生から「大学で生物を学ぶことを具体的にイメージすることができた」という言葉を受け、今回の企画目的の一つである「大学での研究生活についての具体的なイメージ」を伝えることを達成できたと感じる。(M1 松村)
・本企画においてショウジョウバエの脳を紹介するコーナーを担当した。脳には面白い形をした構造が存在し、それぞれに記憶・睡眠・性行動などを制御する役割があることを話した。脳領域と実際の行動を関連付けた説明は来場者も興味を持って聞いてくれていたように思う。話が長くなってしまったのが反省点で、今後このような機会があればさらに興味を引く話を加えつつも簡潔に紹介するようにしたい。(M2 嶋田)
・本企画の実施からみえた課題は、事前に各展示担当者が説明する内容について意見の摺り合わせを行うべきだったことだと考える。なぜなら当日の説明では、企画者が日常的に使っている専門用語が来場者にとっては理解しづらかったり、同じ企画であるのに説明者によって話の内容が異なったり、一般の方にとっては興味がかきたてられない話の進行がみられたからだ。来場者には、今回のオープンラボで初めて研究に触れる方や、ありがたいことに再度来場されている方もいらっしゃる。それらの方ひとりひとりに対して、どのように説明すれば求められているものを提供できるかという案を、前もって内容を具体的に検討し企画者同士で意見交換することが必要だったのではないかと考える。(D1 岡島)
・変異体観察,ポスター展示などすべての企画について説明や対応を行った。進路相談については親御さんの方がいろいろ訊いていた印象を受けた。ポスター展示では,説明をしなければわかりにくいようだった。日本語で作製されたポスターをもう少し前面に出せたらなと思った。(D1 大橋)
・アンケートの結果から、本企画を楽しみショウジョウバエに親しみや興味を持った方がほとんどであった。しかし、研究内容の説明が印象に残っていないようだったので、研究内容や面白さについて理解してもらうためのわかりやすく伝える工夫が必要であったと思う。(M1 佐藤)
・研究室でやっている実験と研究の事を説明したがこの研究を通じてどのようなことに役立てられるのかを知りたい人が多かったので研究の目的をもっと一般の人たちも理解できるように説明したほうがよっかったと思う。(M1 金美松)
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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