＜概要／目的＞
主にオープンキャンパスに参加する高校生やその保護者の方々を対象に、ニワトリ胚の発生を例にした発生生物学に関する展示を行った。また当研究室ではどのような課題に関して研究を行っているかなどの説明も行った。オープンキャンパスの日程に合わせて開催することでより多くの来場者が見込まれるため、多くの人に当研究室の研究内容を知ってもらい発生学に興味を持ってもらうことを目的とした。自分たちの研究を一般の方々に説明する機会は多くはないが、専門知識のない人に自分たちの研究を説明するスキルは企画者にとっても非常に重要であるためそのような能力を身につけることも重要な目的である。

＜方法／企画としての特徴＞
■ニワトリ胚の観察
我々にとって身近な動物であるニワトリだが、受精卵からヒヨコになるまでどのように発生をしているのか世間一般ではよく知られていない。そこで、実際に生きているニワトリ胚の内、発生の過程で大きな変化が観察しやすい1日胚、2日胚、3日胚、6日胚と段階を追ったものを用意し、それらを展示した。実際に生きている胚を観察してもらうことで一日ごとに大きく変わる形態や、大きさなどを実感し身近な動物の発生について理解してもらう。
■ニワトリ胚の骨染色標本の展示
9日胚、13日胚において軟骨組織を染色した標本を展示した。ニワトリ胚のこの時期には既に全身の骨格が軟骨によって形成されているため、体全体の構造がどのようになっているのか、また鳥類に特徴的な骨格を生態と結び付けて説明することでその重要性や発生過程を理解してもらう。また軟骨と硬骨を染め分けた写真資料を用いて説明することで、骨格の形成過程についても理解してもらう。
■ポスターの展示
ニワトリ胚の卵の形成から卵割、そして展示してあった胚発生のステージをまとめたポスターを展示し、それについて説明を行った。同時に自分たちの研究がどのような点に着目しているのか、そのためにどの段階の胚・手法を使っているかなど研究に関する説明を行った。

＜活動内容／具体的成果＞
上記の展示について、来場していただいた方々と共に解説をしながら順番に回った。そのステージ毎に注目してほしい点などを説明しながら胚を観察してもらうことで、ただ見るより理解を深めてもらえたのではないかと思う。また一緒に回ることでその都度に疑問に思ったことを聞いてもらうことができ、その場で説明しながら議論することでも理解が深まったのではないかと思う。

＜感想／課題など（企画力／評価力／自主性等の向上を含む）＞
毎年行っている企画だが年ごとに来場者の傾向が違い、説明する際も重点の置く場所が異なるため色々な人にわかりやすく伝えるための経験としては今年もいい経験になった。今年の来場者は例年に比べ高校生と一緒に両親がついてきている方々が多く、親と子で興味を持っている点がかなり異なりそれを踏まえながら説明していくのは複数の視点からの指摘や質問もあり面白いと感じた。また反省としては、親子連れの場合、親と子の一方が意欲的で他方はそうでもないというパターンが多かった。そのため、そのような場合にもどちらにも興味を持たせられるような工夫を何か考えるべきであった。（志村）
今年は来場者一人一人と対話をすることに力をいれて活動しました。前年度までオープンラボを経験して、1から10までとりあえず説明するやり方に、自分は嫌気がさしていました。なので、一人一人、「発生」や「細胞」という基本的な言葉を知っているのか、確かめるところからスタートするやり方をとりました。そのかいあってか、来場者とのより深いコミュニケーションがとる事ができました。（山本）