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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: オープンラボ・発生生物学研究室「たったひとつの卵から」
実 施 者: 池野茉里奈、名取由加、中澤啓一、関上由佳、李宰勲
実施場所: 8号館247
実 施 日: 2015年 7月 19日
対  象: 大学説明会参加者

<企画協力者> 卒研生 菊田遥、名取澄香、斉藤早紀、安見祐哉

<概要/目的>
大学説明会に合わせて研究室の紹介を行ない、高校生や来場者の方に、研究に用いている動物や、発生生物学の分野について、興味を持ってもらうことが大きな目的である。また、実験に用いている動物のサンプルを展示することで、研究についてのイメージを持ってもらうことができる。それらに加えて、企画者にとっても、研究の説明能力や情報発信能力を向上する目的がある。

<方法/企画としての特徴>
教室をホヤの発生とニワトリの発生の二つのグループに分けて展示を行った。

■ホヤの展示
ポスター展示と固定胚・生体の展示の二つの展示を見てもらいながら説明した。
・ポスター展示:ホヤとはどのような動物か、なぜホヤを使って研究しているのかを中心に説明した。あまりなじみ深い動物ではない人が多かったので、基礎的な情報だけでなく、「東北ではマボヤは珍味として食べられている」といった豆知識なども話すことで、興味を持ってもらえるように心掛けた。
・実験動物の固定胚・生体の展示:固定胚(4細胞期、64細胞期、原腸胚期、神経胚期、尾芽胚期)と、生体(幼生、幼若体、成体)を実際に観察してもらった。発生の流れが全体的に分かるよう、様々なステージを用意するよう心掛けた。また、それぞれのステージに関する補足プリントを用意し、それぞれのステージでどのような変化が起きているのか説明した。


■ニワトリの展示
ポスター展示と固定胚・生体の展示の二つの展示を見てもらいながら説明した。
・ポスター展示:卵からどのような過程を経てヒヨコが生まれてくるか、ニワトリを研究に使う利点は何かといったことを説明した。卵が産まれてからの発生過程だけでなく、殻の付いた卵が体内でどのような過程を経て作られていくのかということに関しても説明した。
・実験動物の生体と骨格標本の展示:卵から取り出した1日胚、2日胚、3日胚の生体サンプルと9日胚と13日胚の骨染色サンプルを展示した。また、それぞれのサンプルの特徴と模式図を書いた資料を用意し、それぞれのサンプルでどのような構造が見られるか説明した。生体のサンプルに関してはできるだけ生きた状態で見せるように心掛けた。 


<活動内容/具体的成果>
来場者の方々に、それぞれの展示を順番に回って説明した。
来場した多くの高校生が「発生」という言葉になじみがないようだった。しかし、発生の全体的な流れを理解してもらうような展示を心掛けたため、イメージをつかんでもらい、興味をもってもうらうことができたように思う。
また、企画者にとっても、高校生や一般の方に説明するために、自分の研究に関連すること以外についても深く理解する機会となったように思う。


<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
昨年度は、来場者に対し自分の知識不足でうまく説明できない部分が多くあったため、発生に関して部分的に学ぶのではなく全体的に理解するよう心掛けた。また、企画者として独りよがりにならないように、どのような展示をするか、そのためにはどのような知識が必要かといったことを共有するよう心掛けた。そのため、初めて参加した卒研生も来場者に対し、堂々と説明ができていたように感じている。一方で、事務的な作業や連絡等が手際が悪く、協力者に迷惑がかかるといったことがあった。この演習を通じて企画者としてのリーダーシップが全く取れていないことを実感した。また、来場者に対して説明する際、一方的に情報を提供することが多かった。次回は来場者との対話も心掛けるよう気を付けたい。(名取由加)

オープンラボのような企画では,毎年決まった内容を先輩から引き継いだ通りに行いがちである。しかし,ホヤグループの企画は,過去の反省を生かし,展示内容を毎回ゼロから考え直すことで真の企画力を養うことを大きな特色としている。今回は,展示サンプルを「マボヤ」に統一し,サンプル集めからプリント作成に至るまで,全て新たにおこなった点が新しい試みであった。マボヤは,これまで展示に用いていた「カタユウレイボヤ」に比べ,胚が大きいという特徴がある。このため,4細胞期や原腸胚期のサンプルは見やすく,来場者の反応もよかった。しかし,企画側の意図とは異なるように捉えられてしまうサンプルもあった。例えば,
・大小様々な割球が整然と配置している64細胞期の胚が,割球が雑多に配置しているボールのように見える。
・神経胚が,楕円状の塊のようにしか見えない。
これらの原因は,マボヤ胚の透明度が低いことも一つだが,サンプルの選び方や見せ方に問題があった点が大きいと感じた。ただし,新しい試みにはこのような失敗はつきものであり,次回以降はこの反省を確実に生かしていけば,よりよいオープンラボが運営できると考える。(中澤啓一)

前回までのオープンラボでは、ニワトリ胚とホヤ胚の企画を別々にして行っていた。しかし、今回は二つの企画を統一することで、動物種の違いによる発生様式の違いを知ってもらうことをメインにし、企画を行った。来訪者の方々も、ホヤ胚とニワトリ胚の発生の違いを発見したり、またその違いに驚いたりしながらサンプルを観察していたので、とてもやりがいがあった。多くの方に発生生物学の面白さを知っていただけたと思う。しかし、展示方法に工夫が必要であると感じた。発生後期の胚になると、血液の流れも肉眼でよく見えるようになるため、血液を観ることが苦手な方には観察し難いものである。一つ前の段階の胚とどのように変化したかを知っていただくためにはそのような方に配慮した展示を心がける必要があると感じた。
企画をする上では、協力者への配慮が足らず連絡が行き届いていなかったり、準備不足などもあったため、速やかに企画・準備が行えなかった。周りへの配慮が足らなかったので、次回の企画に生かしたい。(池野茉里奈)
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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