<企画協力者> M2:吉村彩、飯塚佳凜、辻村美鶴、星野佑介 M1:大田崚眞、中嶋玲菜 B4:荻原弘貴、大塚悠司、前田結衣、山田萌香、石田祐衣、佐藤奈央子
<概要/目的> オープンラボを開催することによって、研究室外部の高校生や地域の方々に、研究室で行っている研究について、理解を深めてもらおうと考えた。 特に、高校生とその保護者には、高校では学ぶことのない、より詳しい植物の進化の変遷と、それによって生まれた植物の多様性について理解を深めてもらうことを目的とした。 同時に、進路を考える中高生の参考となるように、植物系統分類学研究室で行っている研究の内容についてポスター発表をすることで、具体的な研究の様子と意義について理解を深めてもらうことも目的とした。
<方法/企画としての特徴> 標本庫案内ツアーと、ポスターによる研究紹介、一般向けの展示を行った。 標本庫ツアーはおよそ1時間に1回の頻度で行い、解説を交えながら標本庫の中を案内した。解説役は担当の学生が持ち回りで行い、牧野富太郎についてまとめられた配布資料とともに、標本の作製や保管と関わりのない人にも、理解しやすいよう配慮した解説を行った。 また、ポスターと展示物の内容は以下のとおりである。 1.「シダ植物の多様性」 シダ植物がどのように当たらし種を作り出し多様化してきたのか、渓流沿いに生息するシダ植物や、無配生殖種における雑種形成などを例に挙げて説明した。同時に、シダの前葉体を展示し、実体顕微鏡を用いて来場者に観察もしてもらった。 2.「花の役割〜被子植物における送粉者の性表現」 種子植物における花粉の運ばれ方のひとつである動物媒の植物についての研究紹介。花の色、形態、匂い、性表現と送粉者の関係についてまとめた。 3.「小笠原研究」 小笠原諸島をフィールドとした、適応放散的種分化や外来種問題に関する研究について説明した。 4.「キノコの隠蔽種」 ニガクリタケと、外生菌根菌における隠蔽種の説明と、その探索の研究について説明した。また、いくつかの子実体標本の展示も行った。 5.「首都大構内に生息する木本植物の紹介」 首都大の構内に生息する木本植物種の解説と、それらの葉の形状に基づく種の同定方法を紹介した。同じ形状の葉を選ぶ、神経衰弱のようなゲームを通じて、一般の参加者の方にも親しみやすい形での発表を目指した。
<活動内容/具体的成果> 当日、牧野標本館に来場した方々に対して展示品の説明や研究内容をまとめたポスターの解説、植物標本庫の案内を行った。説明を聞いていただいた方からの質問や意見交換なども盛んに行われ、高校生の方だけでなく、地域の一般の方々にも植物系統分類学研究室について理解を深めてもらういい機会になったと思う。標本庫案内ツアーにも多くの方に参加してもらうことができ、植物標本庫の学術的な意義について、一般の人にも広く知ってもらえたと思う。
<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)> ・各自の研究テーマについての発表に加え、標本庫に保管されている標本の説明を行うことで、牧野標本館の文化価値をとても効果的にアピールできたと思う。しかし、一般で来場する型の中には、系統分類学そのものに馴染みのない人も多かった。その為、そういった人にも配慮し、学問のより根本的な部分の解説が必要だったのではないかと考える。(M1 大田)
・今回の企画では葉をもちいたゲームを用意していたが、お子様だけでなく、幅広い年齢層の方々に楽しんでいただけたのでよかったと思う。例年、植物系統分類学研究室では、牧野標本館自体の紹介と自分達の研究の紹介をしているが、研究の紹介ではポスター発表がメインになっているので、よりお客様に興味をもっていただけるような別の展示にするのもいいと思う。(M2 飯塚)
・小笠原紹介のポスター作製と解説を担当した。グリーンカーテンで収穫されたキワーノの実を展示したところ、かなり好評だった。それをきっかけに植物の話が弾むこともあり、実物展示の良さを実感した。今後オープンラボを行う際は可能な限り実物を用意すべきだと感じた。(M2 辻村)
・キノコのポスター作製とキノコの乾燥標本・子実体展示を担当した。来館者にアンケートを取ったところ、キノコ標本やキワーノの実がとても好評だったので今後も研究材料や珍しい植物の実物を展示すると良いと思う。(M2 吉村)
・ポスターを用いた本研究室の研究紹介を主に担当した。来場者は主に大学進学予定の高校生やその保護者と植物や植物標本に関心のある地域の方であったが、後者に満足してもらうための標本の展示や標本庫案内、また一般の方向けの展示をさらに充実させる必要を感じた。(M2 星野)
・ポスターを用いて、主に本研究室の研究内容等の紹介を行った。本研究室は牧野標本館にあるため、大学入学を考えている高校生のほか、牧野博士や押し葉標本に興味のある方が多く訪れた。そのため、標本庫案内や牧野博士についての説明は、植物に興味のある方にとって満足していただけたようなので良かった。本研究室の研究紹介については、ほぼポスターのみの説明で、研究に関連したものの展示を行わなかったため、次回はそのような展示も行い、より来場者が本研究室について知ってもらえるようにしたいと思う。(M1 中嶋)
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