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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 2016年オープンラボ・発生生物学研究室「たったひとつの卵から」
実 施 者: 名取澄香、斉藤早紀、安見祐哉、池野茉里奈、名取由加
実施場所: 8号館247
実 施 日: 2016年 7月 17日
対  象: 大学説明会参加者

<企画協力者> 卒研生 原規司、山口菜穂

<概要/目的>
オープンキャンパスに参加する高校生やその保護者の方々などを対象に当研究室で行っている研究の紹介と発生生物学の基礎に関する展示を行なう。来場者の方に、研究に用いている動物や、発生生物学の分野について、興味を持ってもらうことが大きな目的である。また、当研究室で実験に用いている動物のサンプルを展示することで、研究についてのイメージを持ってもらうことができる。それらに加えて、企画者にとっても、専門知識の無い方に対して研究の説明をする能力や、情報を発信する能力を向上する目的がある。

<方法/企画としての特徴>
■ホヤの展示
ポスターと水槽に入れたマボヤ成体の二つの展示を見てもらいながら説明した。
来場者にとってなじみ深い動物ではなかったため、まずホヤとはどのような動物なのか説明し実物を見せることで興味を持ってもらえるように工夫した。またホヤがなぜ実験に使われているか説明する際にはポスター上の系統樹を用いて、脊索動物内ではホヤの所属する尾索動物が脊椎動物に近いことを示した。発生の流れはイラストを載せることでそれぞれのステージでどのような変化が起きているのか説明した。

■ニワトリの展示
ポスターと生体・骨格標本の二つの展示を見てもらいながら説明した。
・ポスター展示:卵からヒヨコが生まれてくる過程と、ニワトリを研究に使う利点や研究目的をポスターにまとめた。胚の発生過程だけでなく、殻の形成や初期の分裂様式など、卵が体内でどのように形成されるのかをまとめて、興味を持ってもらいやすいポスターにした。
・生体と骨格標本の展示:卵から取り出した1日胚、2日胚、3日胚、6日胚の生体サンプルと9日胚と13日胚の骨染色サンプルを展示した。また、それぞれのサンプルは顕微鏡で細部を観察できるようにして、サンプルの模式図と説明を書いた資料と共に見せることで、どのような構造が見られるかわかりやすく説明した。生体のサンプルに関してはできるだけ生きた状態で見せるように心掛けた。

<活動内容/具体的成果>
来場者の方々に、ニワトリ・ホヤの発生について展示物を見せながら説明した。また本研究室での取り組みや、大学生活について説明や相談を行った。
来場した高校生の中には物理や化学専攻、文系の方もいた。しかし、発生が身近な現象であるという導入と、普段見られないような標本の展示などを行うことで、興味を持ってもらい、視覚的にもイメージしやすい説明を行うことができたと思う。
また、企画者にとっても、高校生や一般の方に説明するために、発生や自分の研究に関する理解をさらに深めたり、説明力を養う良い機会となったと感じた。


<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
昨年度は企画協力者として前日準備と当日の運営のみに従事したが、今年度は企画の発案から携わり、企画書の作成や備品使用申請書類の作成などを行った。企画の発案から携わることで今回の企画の趣旨を改めて明確に把握することができ、目的をもって従事することができた。
今年度の課題としては、準備不足と企画者同士の情報交換不足があげられる。今年度は、準備がギリギリになってしまい、事前に企画者との意思の疎通が取れていなかった。その為、展示の説明は人それぞれであった。また、今年度はホヤグループの企画者が少なかったため展示を縮小して対応することにしたが、事前にニワトリグループの企画者にもホヤの発生についての説明を覚えてもらい、対応できるようにすべきであった。
これらの反省点を踏まえて、来年度は早い段階から準備を開始し、事前にミーティングをしっかり行って企画者同士の情報交換を行いたいと思う。(斉藤早紀)

昨年度の経験から「発生」という言葉に馴染みのない来場者が多いことを想定し、わかりやすい表現や聞きなれた器官の名称を用いた説明を心がけた。その結果、来場者に対して一方的ではなく、対話を意識した説明をすることができたと思う。またサンプルは顕微鏡観察用のシャーレに乗せた胚に加え、上部を開けた卵も用意し直接見られるようにした。発生が一つの卵の中で行われていることがよりイメージしやすくなり、複数人で同時に観察ができることから、顕微鏡以外の見せ方として有効であったと感じた。今後の課題としては企画者内の情報共有が挙げられる。各々が工夫をして説明できていたが、混雑時に何を優先して話すかは個人の判断に任せてしまっていた。企画者を率いていく立場として他の企画者がどのような説明をして来場者と接しているか把握し、来場者の状況に対応できるように指示していくことが大切だったと思う。お互いの工夫や優先して話していることを少しでも展示期間中に共有できていたら混雑時も臨機応変に対応できたのではないかと感じたため、来年に活かしたい。(名取澄香)

本研究室では毎年、ニワトリとホヤの発生についての展示と説明を行っている。これまでは、研究に用いている生物ごとに当日の担当を振り分けていたが、今年はホヤを研究材料に用いている人材が少なかったので、研究の担当を考慮せず皆がニワトリ・ホヤの展示、説明を担当することになった。普段使っていない生物の説明や扱いに苦戦したが、それ以上に多くの成果が得られたと感じた。まず第一に、説明力の向上である。自分の専門でない事を来賓者に説明するために、まず自分が理解できるよう丁寧な発表準備ができたと思う。また普段扱い慣れている生物であるが故の説明の省略もなく、来賓者向けのわかりやすい説明ができたと思う。第二に、研究室内で扱う各生物についての知識の向上である。上記のように、説明に向けての準備で各生物について学ぶことができ、互いに知識を共有することができた。
今回生じた課題は、設備や配布物についての問題である。来賓数を気にかけなかったため配布する資料が不足する事態が発生した。また混雑時に展示室内でスムーズな人の流れを作れず渋滞することが多々あった。余裕を持った準備と、臨機応変な対応が必要だと感じた。来年は客数に応じていくつかの説明パターンを作り、時間をコントロールできるよう改善したいと思う。(安見祐哉)

本年度のオープンラボでは、例年とは異なり、ニワトリ胚の紹介をメインに行った。日常的に目にする卵から、どのようにニワトリが発生してくるのか、ニワトリ胚を用いてどのような研究を行っているかについて一般の方々に興味を持ってもらえるように心がけて紹介を行った。また、ホヤ胚の担当が1人だったため、ホヤ胚の発生についても説明せざるを得なかった。しかし、自分の研究材料ではない動物の発生や研究におけるメリット等を紹介することは、改めて研究室で行っている研究内容やその動物を使うことのメリットを考える良い機会となった。また、あまり馴染みのない動物に興味を持ってもらえるように他の動物との類似点・相違点を紹介する等の工夫をして説明を行った。しかし、説明後の質問では答えることができないこともあり、担当に聞かないといけない場面が多々あった。今後は、説明だけでなく質問にも答えられるようにニワトリ胚だけでなくホヤ胚についても改めて知識を身につけつ必要があると感じた。(池野茉里奈)

本年度はホヤの担当者が自分一人だったため、ホヤの展示スペースを縮小し、ポスターと成体の展示のみに変更した。そのため、少ない展示であってもホヤに興味を持ってもらえるよう、ホヤの研究材料としてのメリットを、具体例を交え、他の生物との比較を意識して説明した。また、ホヤの発生についても、面白いと思ってもらえそうな変態に重点を置いて説明した。結果、多くの人にホヤについて質問をしてもらうことができ、興味を持ってもらうことができたように思う。一方で、大人数が来場した際、ニワトリの担当者にホヤの説明を協力してもらう場面が多々あった。このような事態を想定できていなかったため、ニワトリの担当者とホヤの説明内容を共有できず、ニワトリ担当者に苦労させてしまった。また、自分自身も、ニワトリの展示についての質問にきちんと回答できない場面があった。今後は、このような事態が起こらないよう、自身の担当領域にこだわらず、ホヤ、ニワトリどちらの内容も共有する必要があると考えた。(名取由加)
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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