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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 都立桜修館高校臨海実習2016
実 施 者: 奥溪真人(神経生物学研究室 D2)、出井愛理(環境微生物研究室 M1)、今泉典子(神経生物学研究室 M2)、朱顏(神経生物学研究室 M1)、吉岡真人、伊藤睦美(動物生態学研究室 M2)、神宮彬彦、中川知己、堀内香穂(動物生態学研究室 M1)、西野尋紀、駒木圭介、菊池智尋、林下幹輝(神経分子機能研究室 M1)
実施場所: 神奈川県葉山町鐙摺海岸
実 施 日: 2016年 7月 6日
対  象: 都立桜修館中等教育学校4年生160名

<概要/目的>
動物界には様々な門が存在し、海にはほぼ全ての門の生物が生息している。そのため、多くの動物門を観察するには海産動物採集が最適である。本実習は実際に磯へ行き、生活環境も含めた生物の観察を五感を使って行う。それにより生物の多様性を実感し、系統学的な動物界の構成についての理解を深めてもらう事が、本実習の目的である。

<方法/企画としての特徴>
臨海実習に先立ち、2016年6月28日に同学校で事前指導を行っている。
授業では当日の注意事項、生物の系統分類、当日みられる生物の説明などを行った。

<活動内容/具体的成果>
◎指導員の事前勉強会(6月27日)
採集における注意点などの説明を行い、生徒に指導するべき内容を共有した。また、これまで鐙摺海岸で採集した生物のリストを改訂し、実習で見つかる生物の名前や特徴、危険な生き物などを確認した。今年度も高校1年生が対象であったため、特に当日は安全面を重視するように説明した。

◎臨海実習(7月6日)
・採集準備(10:00〜11:30)
生徒の到着前に指導員は集合し、各自が事前に磯の下見を行い、前もって生物のいる場所や、行動していい範囲、そして危険な場所の確認を行った。
生徒が到着したら、指導員はあらかじめ決めておいた班(一班は約10人)の元へ行き、お互いに自己紹介をした後、注意事項、危険な生き物などの説明をあらためて行った。


・磯採集(11:30〜13:00)
準備ができた班から順に磯に出て、採集を行った。指導員は班員の安全を確認しながら、なるべく多くの生物を採集するように促した。生徒は初めて見る生物や奇妙な生物などに驚きながらも、積極的に生物の採集を行っていた。今回は最初からかなり潮が引いていたため、先に潮が引いた沖の方で採集を行う様に生徒達に指導し、終了時間が近付いた頃に陸に戻りながら採集をするようにと呼びかけた。



・採集後の解説(13:00〜14:00)
班毎に採集した生物をバットに移し、生物の分類・同定を行った。図鑑で調べる事と並行して、指導員による解説を行った。
観察や簡単なスケッチの後、採集した生物を海に戻させ、最後に挨拶をして班を解散した。


<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>

今年で5回目の参加だった。実施時期が例年より遅く安全面が心配であったが、事前指導での注意喚起に加え、当日も徹底して注意を促したため大きな事故無く実習が実施できたことがなによりである。初めて参加するTAが多かったため、最後のまとめは少し手間取ってしまう場面もあったが、想定していたよりも多くの種類の生き物を採集することもできたため、有意義な実習になったと思う。 (神経生物D2 奥溪)

今回3回目の参加だった。例年よりも時期が遅く、生徒が熱中症になるのではないかと心配だったが、当日曇りだったので問題なかった。岩に足をぶつけてけがをした生徒が何人か見られたので、来年以降はより注意するよう呼びかける必要があると思った。生物の解説は指導員によって内容の濃さにむらがあったので指導員向けの事前指導をきちんと行う必要性を感じた。(神経生物M2 今泉典子)

昨年に引き続き本実習のTAに参加した.昨年よりおとなしい学年だったようで,指導や注意事項も素直に聞いており円滑に実習を行えた.集団からはずれひとりで採集している生徒がいたので,事故がないように見守った.危険な生物のガンガゼを見つけた生徒がいたが,生徒も危険なことを感知しており,つかまないよう伝えて刺傷によるけがはなかった.昨年と実施時期がずれたため,採集される生物の顔ぶれも異なり,海産無脊椎動物の代表的な系統を網羅的に見るなら,生物の活動時期を考慮した実施計画を組んだ方が良いと思った.採集を終えて観察やスケッチを行う時間がやや短いようで,スケッチの進捗が生徒により差が開いていた.首都大TA側の問題ではないが,スケッチをして形態や分類を学ぶことを目的とした実習なら,観察とスケッチにあてる時間を多くとった方が良いのではないかと思った.
(動物生態学M2 吉岡真人)

本実習にTAとして参加するのは2回目で、前回の反省を生かして指導するように心掛けた。前回同様、採集中は学生の安全面に特に留意しながら一緒に作業を行い、生物学的な知識を紹介した。また、後の観察やレポートに生かせるように、幅広い種類の生き物を採集し、採集したときの様子などをよく観察するように促した。採集後の観察や分類の説明は前回からの課題であったが、ある生き物の分類やその特徴を紹介し、それと仲間(同じ分類)の生き物はどれかを学生に選んでもらうことで、スムーズに作業が行えたと思う。指導の手順や注意すべき点などを事前に考えておくことが重要だと思った。(動物生態M2 伊藤睦実)

初めて本実習のTAに参加して、予想以上にTAそれぞれの力量に任された部分があったため、自分の知識と準備不足を感じた。班内で先に進んでしまう生徒や集団行動から外れる生徒もいたりとモチベーションの差も大きかったため、個人で自由にするのが良いと判断して、危険がないように見回りと採集についての声掛けを行った。あまり興味のなさそうな生徒には、ほかの生徒が採集したものを眺めて、観察してもらったりした。初めて見る生物は、そもそも生物として認識できないところがあるので、その意味では解説のし甲斐があった。採集後は、系統的な分類とその特徴についてを、観察による生徒の気づきを大事にした。この点については、せっかく実物が目の前にあるのだから、もう少し改善の余地があると思った。(環境微生物M1 出井愛理)

初めて本実習のTAに参加したが、自分の経験と知識の不足を強く感じた。これまで教室などの閉鎖的な空間で生徒を指導する経験はあったが、生徒が広い範囲を自由に動ける空間で指導する経験はなかった。そのため、自由に磯の生物採集をさせようとした結果、担当した班の生徒が四つのグループに分かれて見失いそうになることがあった。それぞれのグループを巡回し安全面や生物採集の指導をおこなったが、移動に時間がかかり、それぞれの生徒と接する時間が短くなったことは今後の課題になった。採集後の作業では集まった生物の特徴、特にその生物が移動に用いる器官に注目させて、それをスケッチさせることに時間をかけた。クモヒトデとタツナミガイの分類が他の生物よりも時間がかかったが、同じ門の生物の特徴を挙げることで生徒に共通する特徴を見つけてもらい分類することができた。しかし、スケッチの途中で飽きてしまう生徒もいたことから、今後は生物が持つ形態の特徴と生態を結び付けて解説できるように詳しい知識を身につけて興味が持続するように心がけたい。最後に、生物を観察する中で生物に触れない生徒もいたため、全方向から観察できる透明なプラスチック容器があると良いと思った。
(動物生態M1 中川知己)

今回が初めての参加であったが、生徒が安全に採集ができることを心がけ、大きな怪我や事故がなく、無事に実習を終わらせることができた。その一方で、捕まえた生き物の詳しい解説やスケッチの書き方などを指導する事ができなかった。特に、スケッチのときは飽きたり時間を持て余してしまったりした生徒もいたので、ただ生き物の名前を教えるだけではなく、高校生にも興味を持ってもらえるように工夫をして解説する必要があると感じた。(動物生態学研究室 M1 神宮彬彦)

本実習への参加は今回が初めてであったが、怪我や事故なく実習を終えることができ安心した。自主的に図鑑で調べたりスケッチに集中していたりと採集だけでなく観察中も熱心な生徒たちの姿に感銘を受けた。生き物に触るのが苦手な生徒の代わりに捕まえてあげるなど自分のできることで貢献はできたと思うが知識不足は否めず、生徒の質問に答えられない場面もあり事前学習の重要性を痛感した。せっかく生物を捕まえたのに足場に気を取られバットを傾けてこぼしてしまったり、色の濃いバケツに入れた生き物をスケッチするのに苦戦していたりという様子がみられたので、容器を工夫できたらよいのではと思った。(神経分子機能研究室M1 菊池智尋)

今回が初めての参加であったが、安全面や生徒の体調を第一に考え、無事に実習を終えることができた。積極的に採集や分類を行う生徒やあまり興味がない生徒がいる中で、すべての生徒が自ら学ぼうとするよう促すことに努めた。しかし、採集中に班員の数名がグループから離れて単独行動してしまったりと、グループ全体をまとめることの難しさを感じた。また、事前学習不足により生物名に関して答えられない質問などがあったため、事前により知識を深めることが重要だと思った。
(神経分子機能研究室M1 駒木圭介)

今回、初めて実習に参加させていただきました。実習の手伝いをするにあたって、生徒達の安全はもちろん、実習を通じてどのようなことを学ぶかという点を意識してもらえるように参加しました。生き物の捕獲に一生懸命になる生徒や、生き物以外に興味がそれてしまう生徒もいましたが、最終的にはグループ内で捕獲した生物に関してのそれぞれの意見や、感想を話し合うことができていたのでよかったと思います。このような実習は高校生ではあまりないことなので目的をもって行動し、得られた結果について考察をするという良い経験になっていると感じました。(神経分子機能研究室 M1 林下幹輝)

初めての実習への参加であったが、生徒に大きな怪我や事故がなく終えられた。採集は多くの生徒が進んで行っていたが、生物が苦手な生徒もできる範囲で参加しようとする姿が見られた。スケッチでは、カメラや図鑑を見て後で書こうとする生徒がいたが、ヒトデの動く様子等の実際に見なければわからないことを示すと意欲的に観察を行っていた。生物の面白さを工夫して伝えることが必要だと感じた。(神経分子機能研究室 M1 西野尋紀)
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