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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 都立桜修館中等教育学校臨海実習2018
実 施 者: 今泉典子、朱顔、近藤日名子、榎本萌花(神経生物研究室M2)、 酒井絵理佳(植物系統分類学研究室M2)、 松浦明利(細胞生化学研究室)、 城取良樹、中小路菫(光合成複合微生物研究室M2)、 金室晶貴、田中陽菜、中村勇之介、森岡祐莉佳(光合成複合微生物研究室M1)、 横塚未来、和田優之介(動物生態学研究室M1)、 森田なな星、横山日向子(環境微生物研究室M1)、 清水優紀、古井佳奈(発生生物学研究室M1)
実施場所: 神奈川県葉山町鐙摺海岸
実 施 日: 2018年 5月 21日
対  象: 都立桜修館中等教育学校4年生160名

<概要/目的>
動物界には様々な門が存在し、海にはほぼ全ての門の生物が生息している。そのため、多くの動物門を観察するには海産動物採集が最適である。本実習は実際に磯へ行き、生活環境も含めた生物の観察を、五感を使って行う。それにより生物の多様性を実感し、系統学的な動物界の構成についての理解を深めてもらう事が、本実習の目的である。


<方法/企画としての特徴>
臨海実習に先立ち、1週間前の5月23日に同学校で事前指導を行っている。
授業では当日の注意事項、生物の系統分類、当日みられる生物の説明などを行った。


<活動内容/具体的成果>
◎指導員の事前勉強会(5月21, 24, 28日)
実習当日の流れとTAの動きやありかた、採集における注意点などの説明を行い、生徒に指導するべき内容を共有した。実習で見つかる生物の名前や特徴、危険な生き物などを確認した。今年度も高校1年生が対象であったため、特に当日は安全面を重視するように説明した。

◎臨海実習(5月31日)
・採集準備(9:00〜10:00)
生徒の到着前に指導員は集合し、各自が事前に磯の下見を行い、前もって生物のいる場所や、行動していい範囲、そして危険な場所の確認を行った。
生徒が到着したら、指導員はあらかじめ決めておいた班(1班は約10人)の元へ行き、お互いに自己紹介をした後、注意事項、危険な生き物などの説明をあらためて行った。


・磯採集(10:00〜11:15)
準備ができた班から順に磯に出て、採集を行った。指導員は班員の安全を確認しながら、なるべく多くの生物を採集するように促した。また、採集した動物がどのような場所に隠れていたかを、高校生たちに印象付けた。生徒は初めて見る生物や奇妙な生物などに驚きながらも、積極的に生物の採集を行っていた。当日の天候は曇り時々雨だったため、岩の上で滑って転倒しないように高校生に呼びかけた。



・採集後の解説(11:15〜13:00)
班毎に採集した生物をバットに移し、生物の分類・同定を行った。図鑑で調べる事と並行して、指導員による解説を行った。また、簡単なスケッチをするよう指示した。
その後、高校生と一緒に採集した生物を海に戻し、最後に挨拶をして班を解散した。



<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>

今回私が担当した班は、桜修館の先生からなんとなく心配な班なので、指導員を2名つけてくれと言われていた班でした。危険なので追ってはいけないと指導していたタコを狙っている子たちが班員にいたため、はぐれてしまってもその子たちには必ず1人はついていくように心がけました。ずっとついていたので、途中からはタコは諦め、楽しく安全に磯採集を行ってくれました。しかし、班員全員をフォローしきれず、同じ種類の生き物を大量に海岸へ持ってきてしまっていたため、撮っている動物の種類への注意が足りなかったと感じました。解説の時は、何を話そうか準備していったため、高校生たちもたくさんメモを取ってくれていて、昨年よりも充実した解説ができたように感じました。(神経生物M2 榎本萌花)

TAとしての参加は二回目だが、例年実習には行っていた。昨年は、実習史上はじめての寒くてかなりの雨での決行となった。その影響か今年は、雨だと中止とはっきり決まっていた。当日は、曇りであった。例年通り、1時間前には、実習場所につき事前に磯確認をした。湘南にもカツオノエボシが出たとの情報があったので、念入りに探したが、見つからなかったので、よかった。例年体育祭後のため骨折者が必ずいて、その対応を個別的によく行っていた。今年も、はじめからの負傷者はいなかったので、みなと一緒に磯採集をし、動物を見つけると高校生に声をかけ自分で見つけさせて採集させた。タツナミガイを踏むと紫(紫汁)がでる。その紫の先を確認させタツナミガイを見つけさせた。アメフラシとの違いも説明するが、なかなか違いがわからないようで、もう少しうまい説明を今後考えようと思う。採集後図鑑で調べながらスケッチをし、携帯で写真を撮ったり、その場で名前や特徴を伝えてメモをした。けが人も出ず無事に終えることができた。(神経生物学研究室M2 近藤日名子)

今回天気が心配された中の決行となった。TAとしての活動は今回が初めてで、昨年の教育実習以来の高校生の指導の機会となった。私が受け持った班は早い段階から二つに分かれてしまったため、少ないほうのグループについてあげられる機会が少なくなってしまい、なるべく分かれても遠くに行かないように指導しておけばよかったと思った。しかし高校生は自ら積極的に生物の採集を行い結果、刺胞動物門、環形動物門以外の動物はすべて採集できたので、実際に生物の体構造を観察しながら解説することができた。高校生には種名などを図鑑を使って調べたり、あるいは調べ方について指導した。今回の実験指導でタツナミガイなど今まで観察したことのなかった生物も観察することができ、良い機会となった。高校生がけがもなく無事に終えることができたのでよかった。(動物生態学研究室M1 横塚未来)

私は磯の生物の知識がなく、終始図鑑と神経性物学研究室のTAに頼りっぱなしであった。生徒が有毒ウニのガンガゼを見つけた際、注意を促すことができなかったのが反省点である。また、胸まで海水につかるような深い場所に行ってしまう生徒が後を絶たなかった。気温が低く、生徒が風邪をひくおそれがあったので、生徒達の行動にもっと注意を払うべきであった。観察の指導にあたって、生徒達には生物の形態から進化過程について考えてもらった。系統分類上どこに位置するか、ヒトとはどのくらいはなれているか、共通する特徴は何か、生徒同士で活発な議論が行われたのは良かったと思う。今回は、私自身も磯の生物について学習できる良い機会であった。(環境微生物学研究室M1 森田なな星)

雨交じりの空、悪天候の中の開催であった。TAとして活動する初めての機会であり、自分が年少者の学習機会を預かるという状況に、多少の緊張を抱えて望んだ。私が担当した班の生徒たちは、実習にかなり精力的であることが窺えたが、それゆえに作業に夢中になった結果、班が分離するという事態が度々起こってしまった。新たなものを見つけより深い場所へ入ってしまう生徒、グループで纏まって移動しながら採取する生徒、あまり水に入りたがらず岩場で石の下などを詳しく見ている生徒というように、個性による分離があり、各グループを回りながら注意して見ていたが、全ての生徒に気を配ることは非常に難しかった。しかしながら、危険なものを見つけた際の注意喚起やアドバイスにはよく従ってくれる生徒が多く、よく説明を聞いてくれたり、自分たちで図鑑を引いて調べるなどの熱心な活動には感心した。知識にも不安はあったが、事前指導や下調べがよく活き、的確な説明を加えられたように自負している。私自身、非常に勉強になった。同じ種に絞らず、創意工夫を持って多種多様な生き物を採取してくれた研学な生徒たちに感謝を。(光合成複合微生物研究室M1 中村勇之介)

TAとしては3度目の参加です。私の班では皆さん意欲的で積極的に観察と採集を行っていました。男子と女子に分かれる傾向はうちにかかわらずほかの班にもあるみたいで、TA2名いるうちではそれぞれのグループに1名ずつ付くことにしました。生徒たちは魚、カニ、ヤドカリ等よく動くものに興味が大きく、そればっかり注目しないよう、磯に潜む多種多様な無脊椎動物達に探してもらうように紹介できればいいのではないかと感じました。生憎採集の後半から雨が降り出し、寒い風が吹き荒れる悪天候となり、新発見はなかなかできませんでした。解説とスケッチの時間では、動物達を門ごとに分類させたり、クイズを出し、それぞれ見つかった動物たちは系統樹を使いどこに位置するかを生徒たちに示させたりしました。みなさんの反応がよく、間違っても疑問を投げかけてくれて嬉しく思いました。特にアメフラシの退化した貝殻、タツナミガイの不思議な外形や、軟体動物腹足類の水管の役割についてなど、普段馴染みのない海の動物に興味津々で、説明する側としては今度もっとうまく説明できたらいいなと思わせてくれました。今回の臨海実習で怪我人なく無事に終えてよかったです。TAの機会をいただきありがとうございました。(神経生物学研究室M2 朱顔)


TAとしては3度目の参加でした。全員意欲的な生徒で、採集中は見つけた生物についてや探している生物がどこに居そうか等、沢山質問してくれました。採取後の観察では過去2回のTA経験で学んだ知識を生徒の皆さんにお伝えすることができ良かったです。また過去の反省を踏まえ、採取前に班のメンバーの顔をしっかり覚え、班のメンバーが分裂しないように伝えることができたので班全員まとまって行動することができました。今回でこの実習のTAは最後となりましたが、桜修館中等教育学校の意欲的な生徒の皆さんと交流することができ刺激を受け、生物学の知識も深まり、とても良い経験となりました。ありがとうございました。(光合成複合微生物研究室M2 中小路菫)

TAとしては、初めての参加でした。天候が心配される中の臨海実習となりました。採取中に班がばらけて行動してしまい、班全員に目を向けることができなかったのは反省する点だと思いました。しかし、採取中にどこを注意して探すのかや、浜での作業中にもらった質問に対して、的確に答えられ、事前に勉強した内容について生徒に教えられてよかったと思います。また、だれも事故が起こらずに臨海実習を終えられてよかったと思います。いい経験となりました。ありがとうございました。(光合成複合微生物研究室M1 金室晶貴)

初めての参加でした。私はTA経験がなかったため神経生物学研究室の今泉先輩とともに班につきました。班のメンバーがばらけてしまったため注意を班全体に促せなかったのですが、皆意欲的に採取をしていたためほとんどの種類を採取することができていました。説明は今泉先輩に頼りきってしまったため、次に参加することができたら説明できるようにしておきたいと思いました。「どう思う?」との問いに対して初めは首を傾げるだけだった生徒も、分類をしていくうちに「これは違うと思う」など意見を言ってくれるようになり、観察する視点を学んでもらえたようで良かったです。過去に自分が見た事のあるタツナミガイの退化した貝殻の様子などを話すと興味深そうに聞いてくれる子もいたので嬉しかったです。不安定な天候の中でしたが、実習を無事に終えられて良かったです。貴重な経験をありがとうございました。(環境微生物学研究室M1 横山日向子)

今回は2回目の参加だった。そのため前回の事を踏まえ、海へ入る前に高校生たちへなるべく多くの種類を採取するよう指導した。しかし、それでも学生たちは動きが目立つヤドカリを多く採集してしまっていたので、最初だけでなく実習中も注意を怠らない事が必要だと感じた。特にタコと遭遇してしまったときは班員がほぼそちらに気をとられてしまった。今後は動きの少ない生物にも興味を持ってもらえるような解説を事前にできたらと思う。採集後の観察では大まかな分類について解説した。また、スケッチをする事のメリットも説明し、学生がなるべくしっかり観察できるよう指導した。それでも学生の興味が向かない生物はあまり観察されていなかったようなので、より多くの門に関して興味がわくような説明をできれば良かった。(動物生態学研究室M1 和田優之介)

今回が初めての参加であった。事前指導にも参加し生徒たちへ磯での注意点や生物多様性について解説した。当日担当した班は生徒間にまとまりがなかったため離れて採集を行わないように注意喚起を行った。採集後は生徒たちの採集してきた生物に関して解説を行った。生徒達から進んで質問が出ており、興味を持ってもらえたので生徒たちにとっても楽しく磯の生物の多様性を学べていたと思う。反省点としては生徒たちが同じ生物を何匹もとってきていたので、それに途中で気づいて注意できれば良かった。自分としても貴重な経験になりました、ありがとうございました。(光合成複合微生物M2 城取良樹)

天候が心配な中での開催だった。TA経験がなかったため、他の班より事前指導が十分にできなかったと感じたが、実際に磯に出た後にその場で危険だと思ったことは注意するようにした。生徒達はばらけてしまったが、注意をするときちんと耳を傾けてくれた。班長は何度注意しても肩ほどの深さまで海につかってしまったので少なくとも入る深さは腰までにするように強く注意した。採集後の説明では全員が予想以上に丁寧に説明を聞いてくれ、事前勉強会に出席したことが役に立ったが、もう少し自分でも予習すべきであった。私自身も今回の実習で初めて観察する生物が多く、大変有意義な時間であった。(光合成複合微生物M1 森岡祐莉佳)

今回は、実習本番のTAは3回目、高校生への事前指導は2回目の参加であった。事前指導では、なぜ実習を海でやるのか、生物の多様性はどのように増していったのかについて説明した。生徒はまだ高校1年生で、進化についてはさわり程度しか学習したことがないため、難しくなく、しかし実習の本質を分かってもらうように、どのように説明するのか考えなければならなかった。そこで、なるべく図的に具体的な例を挙げながら説明するように心がけ、生徒はしっかり聞いてくれたと思う。実習本番では、担当したグループ内で、積極的な生徒とそうではない生徒にはっきり分かれていた。そのため、消極的な生徒の方に、生物がいそうな場所のポイントや、触っても大丈夫であることを教え、フォローするように心がけた。最後には怖がりながらも、いろいろな生物と触れ合えていたので、よかったと思う。(植物系統分類が研究室M2 酒井絵理佳)

班員の磯採集への意欲が高く、「この生物を採集したい」等の目標を持っていたので、班員の興味を尊重することを意識した。目的の生物を見つけられるよう、採集中は、生物がいそうな場所を助言した。同時に、興味を持つ生物以外にも注目するよう、その場にいる他の生物を見つけて紹介し、採集できるようにした。結果、複数の動物門にわたり採集ができた。また、班員が発見したことを積極的に取り上げて、班内で共有するようにした。これにより採集・観察への意欲を高められ、生徒主体で実習を進められたと思う。解説では、生徒が観察したことを思い出させつつ、可能な範囲での分類・同定をした。各生物の詳細な観察にあまり時間を割けなかったこと、個々の生物に関して教えられる知識が少なかったことは反省点だった。(発生生物M1 古井佳奈)

事前に、生徒たちは生物の「種類」よりも、採る「数」に集中してしまうと聞いていたので、それが起こらないようなるべく多くの種類の生物を採集するよう促した。生徒たちは、班員全員が積極的に採取をしており、結果、様々な種類の生物が採れた。また、採集後の生物の種類分けの時間には、これは何?と聞かれてもすぐに正解を言うのではなく、考えてもらえるように意識した。その結果、熱心に図鑑を調べたり、観察をしてくれたり、これは何に分類されるのだろう、と話し合いをしてくれた。ただ、観察の時間が短く、生物によっては、写真を撮って終わりという形になってしまったので、それぞれの種類の生き物はどのような特徴があるのかなどもっと話してもらえるように促せば、より良い実習になったと思う。(発生生物M1 清水優紀)

今回私が担当した班は大人しい学生が多かったため一緒に探してみようという声かけが他の班よりも多かったように思う。しかし班長の元気が良く単独行動をして沖の方まで採集に行った。そこで採集したものの生態を他の班員に見せられなかったことが残念であった。実習の前に現地で見ることができそうな生物の下調べを行ったが、実際行うと判別のつかない生物もあり事前学習不足を感じた。種類分けの際は答えを教えるのではなく考えてもらうように意識をした。私自身も名前だけ知っていて見たことのない生物を観察することができ、有意義な時間であった。(光合成複合M1 田中陽菜)

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グループでの活動は,最終項目のみ,全員記入ください.
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