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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 都立大附属高臨海実習2008
実 施 者: 鈴木祐美子・太田力・太田雄一朗・粕谷雄志・坂本信介・松田尚子・黄瀬幸雄・塩崎麻由
実施場所: 神奈川県葉山町鐙摺海岸
実 施 日: 2008年 7月 5日
対  象: 東京都立大学附属高等学校2年の希望者約20名

<概要/目的>
 都立大附属高校では、生物の授業として臨海実習を実施している。今年は6月に実施する予定だったが、台風の影響で中止となってしまった。そこで、今回はその補講として、高校の通常授業のない土曜日に希望者のみで行った。
 海にはほぼ全ての動物門の生物が生息していることもあり、多くの動物門を観察するためには海産動物採集が最適である。本実習では実際に磯に出て、五感を使い、生物をその生活環境も含めて観察する。それによって、生物の多様性を実感し、動物界の構成の理解を深めてもらうことが目的である。

<企画としての特徴>
 2008年5月28日に同高校で行った事前授業の企画をふまえたものである。

<活動内容/具体的成果>
●指導員の事前勉強会(7月4日):鈴木(祐)、太田(雄)、粕谷、松田、黄瀬、塩崎
 事前授業に参加していない指導員のために、授業内容を紹介する時間を設けた。また、以前の臨海実習において採集した生物のリストを作成し、生物名や特徴を確認し合った。

●臨海実習(7月5日):鈴木(祐)、太田(力)、太田(雄)、粕谷、坂本、松田、黄瀬、塩崎
1、採集準備 (9:30〜11:00)
 指導員は生徒よりも1時間ほど前に海岸へ到着し、生物や危険な場所などの確認・下見を行った。生徒到着後、班ごとに分かれて採集の説明や道具の配布を行った。班は生徒4〜6名を1班とし、4班に分かれ、1班につき指導員を2名つけることができた。
2、磯採集 (11:00〜13:00)
 磯へ出て生物の採集を行った。指導員は、生徒が一見動物だと気づかないような生物も紹介したり、他班と協力して良い場所を教え合うなど、生徒にできるだけ多くの種類の生物を見るように促した。また、採集の際の注意(危険な生物への注意、採集バケツの水を常時交換する、同じ種を大量に採らないなど)も呼びかけながら行った。潮が最も引く時間に合わせて最も沖へ出るようにした。
3、採集後の解説(13:00〜13:30)
 各班ごとに採った生物をバットに移させ、観察をしながら生物の分類・同定を行った。他班で採れたものも互いに観察し合い、全部で約8門、60種に及ぶ生物を採集することができた。
 観察や生徒たちのスケッチが終わったあと、採った生物を海へ戻させた。

<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
 今回の臨海実習には事前授業の段階から関わらせてもらうことができた。高校の授業としてプレゼンテーションを行ったり、とりまとめ役として高校の先生と連絡をとりつつ計画を練るなど、初めて行うことも多かったので、とてもいい経験となったと思う。また、今回は希望者のみの参加だったので、昨年と比べて人数が少ない分、より徹底した指導がしやすかった。生徒も積極的に採集し、質問も多く出て私自身のいい勉強になった。事前授業で紹介した内容を、臨海実習当日に生徒が覚えていてくれたことを確認できたことが嬉しかった。生物のおもしろさをもっと伝えるために、より勉強や研究に励み、知識をつけたいと思った。(鈴木祐美子)

 附属高臨海実習への初めての参加となった。実験動物の採集で磯には頻繁に行くので、磯の生物についての知識はあるつもりだったが、生徒たちの質問に答えられないことも多かった。また、生徒へ各生物の分類や特徴について説明する際、高校生の知識に合わせた言葉を選ぶのが難しく、生徒に理解させることが出来なかったように思う。これは今後、専門外の人へ自分の仕事をを説明するのにも関わる能力であり、このような機会を多く持つようにし、トレーニングする必要があると思う。さらに、今回初めて企画の計画と実施に関わったが、企画書を書くのに多くの時間を費やしてしまった。今後、研究に支障が出ないよう、文書の作成が速やかに行えるようになる必要があると思う。(太田雄一朗)

 去年に引き続き臨海実習に参加したが、磯に住む生物の豊富さ、多様性を再確認することができた。生徒は生物に興味のある生徒が多く、意欲的に生物の採集を行っていた。その結果、陸上には存在しない動物門も多く含む多様な生物を採集することができた。生徒にとって普段見る事の無い生物を観察する機会となり、意義のある実習になったと思う。今回企画書を作成したが、自分にとって初めての経験であった。伝わり易い企画書にする為に、他の人の書いた企画書を参考にしたり、また人に評価してもらった。その結果最初に作ったものよりも、改善され、非常に勉強になった。(粕谷 雄志)

 今年で2回目の参加でしたが、毎年採集される磯の生物の種類は少し違いがあった。初めて磯の採集を行った生徒が多く、始めは観察するのみだったが、TAが率先して採集を手伝ったことにより、生徒は磯の岩の裏など生物が隠れていそうな場所を隈なく探し、意欲的に採集を行っていた。採集後の解説では、多くの動物門の生物が採集出来たこともあり、系統分類、種類の同定だけでなく、体構造の観点から海の生物の進化過程についての解説も行った。率先してグループをまとめ、生徒に危険が及ばない様引率し、また海の生物の特徴や体構造について詳しく指導したことは自身のTAの能力向上に非常に有益であった。(太田 力)
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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