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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 女子学生夏の学校におけるニワトリ胚を用いた実験
実 施 者: 武政 智恵 (発生プログラム研究室)
実施場所: 独立法人 国立女性教育会館(埼玉県)
実 施 日: 2008年 8月 15日
対  象: 「女子学生夏の学校」に参加する女子中高校生100名のうち30名

<概要/目的>
 2008年8月14-16日の3日間、「女子学生夏の学校(以下、夏学)」が埼玉県で開催された。(http://www.natsugaku.net/index.html)夏学は今年で3回目の開催で、毎年女子中高生を対象に、科学の世界に触れてもらうためにさまざまな企画が実施されている。今回私は、「女子学生夏の学校」の開催を機に、私が研究材料とするニワトリ胚が卵殻内で形態形成が起こる様子の観察をする実習を「卵の秘密」と称し企画・実施した。 ニワトリの有精卵は約39℃で20日間温めるとヒヨコとして孵化する。今回は2日胚を用意し、胚の観察をしてもらった。
 この企画の第一の目的は、観察実験を通して参加者の中高生に、サイエンス(特に生物学)の魅力を伝えることである。そのため、ただ観察するだけでなく、卵殻内から胚のみを取り出す手法を用い、どのような研究を行うことができるかなど、参加者同士で議論してもらう時間を取った。
 また、企画者はこれまでに、2回のアウトリーチで同様のニワトリ胚の観察実験を実習として行った。その際に実習内容・説明方法などで多くの反省点があった。それらの反省点を改善し、本実験を企画・実施することにより、企画者の企画能力、情報発信力、説明能力の向上を図ることを第二の目的とした。

<方法/企画としての特徴>
 女子学生夏の学校のプログラムに含まれている実習・実験企画のひとつとして申請し、ニワトリ胚の観察実験を行った。
 実験は1ターム90分で、10人ずつ3回、計30名の女子中高生が参加した。受講者には、ニワトリの受精・初期発生について説明をした後、実際に大学の研究で用いているニワトリ胚の培養法と同じ手法で、ニワトリの2日胚を卵殻内から取り出して実体顕微鏡で観察後、ケント紙にスケッチしてもらった。
 その後、今回教えたニワトリ胚の培養方法を用いてどのような研究が出来るかをディスカッションしてもらった。その際、各グループにTAがつき話し合いを助けた。

<具体的成果など>
・実験参加者は比較的身近な動物であるニワトリの胚を各自が取り出し観察することで、生物が形態形成する様子に面白みを感じるとともに、実際に先端研究で用いられている実験方法に触れ、考えることで生物学研究に対して具体的なイメージを持つ助けになったと考えられる。
・夏学のプログラムに組み込まれた企画実施の時間・場所などルール内で、円滑に企画を進行させるためにこれまで行ってきたアウトリーチ活動と比べより周到な準備をすることができた。
・これまでのアウトリーチで、受講者側に伝わりにくいと感じた説明方法を改善した。

<感想/課題など(企画力/評価力/自主性等の向上を含む)>
 本企画では、顕微鏡による観察実験ののち、ディスカッションを行った。ディスカッションでは中高生の意見に対し的確なコメントをする必要があったが、この点でしばしば福田先生に助けていただいた。
 教える立場として話し合いを進める難しさを感じたが、次に同様の機会があればよりよいディスカッションの場を提供できるように努めたい。
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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