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生命科学専攻
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「大学院教育改革支援プログラム」:アウトリーチ

タイトル: 生命科学コース入学予定者への研究紹介
実 施 者: 武智玲奈、松田尚子(動物生態学研究室)
実施場所: 首都大学東京南大沢キャンパス(理学部大会議室および松木日向緑地)
実 施 日: 2009年 2月 21日
対  象: 生命科学コース 2009年度入学予定者(高3生)・24名

<概要/目的> 
 本企画はゼミナール入試および推薦入試合格者の入学前教育の一環として、生命科学コース入学の予定者を対象に行った。大学生や院生の実際の研究の様子を知ってもらうために、自分の行っている研究の概要と調査の様子を紹介した。また、キャンパス内の松木日向緑地を案内し、南大沢キャンパスに豊かな自然が残っていることを実感してもらうとともに、生物の観察から研究のヒントが得られることを知ってもらうことを目的とした。
 企画者自身は、研究内容を高校生にわかりやすくプレゼンテーションをするスキルや、身近な生物に関心を持たせられるような解説の仕方を身につけることを目的とした。

<方法/企画としての特徴>
 前半の1時間で、30分ずつパワーポイントを用いて研究内容を紹介した。実際のイメージが沸きやすいように、スライドには写真を多く用いるように心がけ、調査道具(ネズミ捕り用ワナ)や研究材料(クルミと食痕)の実物を手渡して観察してもらった。
        
↑センサーカメラで撮影された         ↑アカネズミの食べ痕が
 動物の紹介(アナグマ)            ついたオニグルミ

 後半の1時間では、双眼鏡と、松木日向緑地の自然を紹介しているハンドブック「ひなたブック」(2006年度にIAGEのアウトリーチ活動の一環として作成)を配布し、それらを用いて緑地を歩きながら生物の観察をした。生物の特徴や、その生物に関して現在関心が持たれている研究(例えば、外来種のガビチョウが在来種に及ぼす影響についてなど)を解説した。

<活動内容/具体的成果>
15時〜16時 動物生態学研究室での研究紹介(場所:理学部大会議室)
 前半30分:「都市に生きる獣たち」(松木日向緑地における赤外線センサーカメラを用いた哺乳類の調査について)(松田)
 後半30分:「アカネズミにおけるオニグルミ採食技術の習熟過程」(武智)
16時〜17時 キャンパス内の緑地における自然観察(場所:松木日向緑地)

 身近な都市緑地にタヌキやアナグマが生息している話や、手渡された実験材料を、生徒たちは興味深そうに聞いたり眺めたりしていた。また、動物の行動を知るためには、広範囲を歩き回って長期間調べる必要があることを知り、根気の要る野外調査に驚く生徒もいた。実際に自分たちで緑地を歩いたことで、その大変さが身に沁みて感じたようである。緑地の観察会では、生徒たちは遠くの枝先の小鳥を捉えようと双眼鏡を構え、解説にも熱心に耳を傾けていた。落ちていたオニグルミを拾って、ネズミの食べ痕がついていないか自ら観察していた生徒もいた。授業後のアンケートでは、説明がわかりやすかったというコメントをもらうことができ、生徒に研究の様子を知ってもらうことと、企画者自身の説明力をアップさせること、これらの目的を果たせたのではないかと感じている。

↑緑地観察の様子(梅林にてメジロの観察中)

<感想/課題など>
 これまでにもアウトリーチ活動やオープンラボで、高校生に研究内容を紹介する機会が数回あった。その際にも好評だったクルミやワナの実物観察を今回も取り入れ、説明は日常の言葉でわかりやすくするように心掛けた。生徒たちの反応から、興味深そうに観察している様子や、話の内容を理解できている様子が見受けられ、工夫が実を結んだように感じて嬉しく思った。しかし、一方的に話しかける口調になってしまったので、もっと生徒の意見や質問を引き出して、対話のできるような講義にすれば、生徒も楽しく参加できて理解を深められたのではないかと反省している。今後はこの点に気をつけて講義をしたい。野外観察では、ちょうど梅の花が身頃で、代表的な野鳥も運良く現れて、生徒たちに楽しそうに観察してもらえてよかった。しかし、今回は観察会の準備を充分にはできなかったので、時間があれば念入りに下見をして見所を抑えたり、トラップなどを仕掛けたりして、もっと内容の濃い観察会にできればよかったと思う。限られた時間のなかで、最大限効果のある講義や観察会の内容を考えて準備をすることが、今後の課題である。今回の講義が、参加者の学生生活への期待や学習意欲の向上につながれば幸いである。(武智)

©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University
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