イーストの餌の作り方

処 方

* 乾燥ビール酵母(エビオスなど)でもかまいません。また、パン屋さんなどから生イーストが手に入る場合は、150g 使用して下さい。
** パラオキシ安息香酸ブチル(p-hydroxybutylbanzoate)の商品名。食品添加用として入手できますが、試薬でもかまいません(ただし、値段は高い)。この他に、パラオキシ安息香酸メチルやプロピルなどの安息香酸エステルが食品添加物として市販されており、どれでも差し支えありません。水には溶けないので、70%エタノール中に10%の割合で溶かした溶液を使用します。安息香酸エステル類が手に入りにくいときは、プロピオン酸のみでも、まずは問題ありませんが、この場合、倍量を加えるようにして下さい。

作り方

 鍋に、水、ドライイースト、寒天を入れ、よく撹拌してイーストをできるだけ溶かしてから火にかけ、沸騰してから10分ほど煮た後、砂糖を加え、さらに数分加熱します。イーストは焦げつきやすいので、加熱中は、常時、撹拌するようにして下さい。火を止めてから、プロピオン酸とボーキニンB溶液を加え、よく混ぜます。
 次に、鍋ごと、水を張ったボールなどの大きな容器につけ、水道水を緩やかに流しながら撹拌し、約50℃になるまで冷却します。温度が高い状態で飼育ビンに分注すると、イーストが底に沈んでしまい、栄養不足になりますので、固まる寸前まで冷やしてから分注することが大切です。もし、分注中に固まってしまった場合には、再度加熱すると溶かせます。

分 注

 上の分量は、直径3cm程度の管ビン約80本分です。大規模な研究室では、分注のためのさまざまな道具が使用されていますが、飼育ビン数十本程度の規模だと特別な道具は不要です。牛乳沸かしなど、ヘリにくぼみのある鍋を使用する場合、鍋から直接分注することも可能です。また、ビーカーに移してから分注してもよいでしょう。餌の分量は、ビンの底から2ー3cmの高さを目安とします。
 なお、鍋の底に冷却に使った水道水が付着していると、これが餌の中に落ちてカビやバクテリアが繁殖する原因になるので、分注前に鍋の底を充分拭いておくようにします。また、分注が終わってすぐに栓をすると、蒸発した水分でビンの壁に水滴が付くので、滅菌した布や紙をかぶせて1時間ほど放置してから栓をするようにします。
 餌を作り終えたら、適当な大きさのラベルをビンの外側に貼っておくと、必要な事項を記入するのに便利です。市販のラベルは、粘着力が強すぎて洗ってもなかなかはがれないので、半紙を切ったものを大和糊で貼りつけることをお勧めします。白のビニールテープを切って使うことも可能ですが、記入には油性ペンが必要です。

参 考