展示用の牧野標本の貸出及びデジタル画像の提供について

最近、当館が所蔵する牧野標本(牧野富太郎博士や協力者が作成した植物標本)を、展示用に貸し出して欲しいというご相談が非常に増えています。確かに実物の牧野標本からは牧野博士の植物学に対する情熱が伝わってきますので、私達も多くの方に観ていただきたいと考えています。しかしながら植物標本を長期間展示すると、光(特に紫外線)の影響で退色することが多く、温湿度の変化による変形や、害虫やカビによる被害を受けたり、輸送の過程で破損または紛失する恐れもあります。特別な理由がある場合を除いて、展示目的での整理・収蔵済み牧野標本の貸出は避けたいと考えています。

そこで当館では、収蔵庫に収められている研究・保存用の標本とは別に、展示用の牧野標本(もちろん、実物の牧野標本です)を準備することにしました。この展示用標本は、多数の重複品が残されていた未整理標本の中から、比較的保存状態の良いものを選び出して、標本ラベルと共に台紙に貼り付けたものです。分類群や産地は限られますが、牧野富太郎博士や協力者の方々が日本各地で採集・作成した様々な標本が含まれています。今回準備した展示用標本は約570点ですが、今後も新しい標本を随時加えていきたいと考えています。展示用に標本の貸出を希望される場合は、まずはこのリストの中からお選び下さい。(→貸出用標本リストはこちら

標本の貸出にあたっては、展示環境や展示期間、標本の取り扱い注意事項などの確認のため、オンラインまたは対面での打ち合わせをさせていただくことがあります。特に太陽光が差し込む環境で展示すると、標本の退色を早めてしまう恐れがあるため、展示場所を変えて頂くか、展示期間を短くして頂くことなどをお願いしています
また、標本の劣化を抑制するため、事前に標本をプレートパウチ(アクリル板で挟み、専用ポリ袋に入れて脱気・シーリング)した状態でお送りさせていただくことをお願いしています。パウチ作業はこちらで行いますが、標本1枚当たりのコストが約2,000円かかるため、可能な範囲で費用負担または消耗品(04 41003)を現物提供して頂けますと幸いです。こちらに消耗品の在庫は多少ありますので、標本返却の際に新品をご送付頂いても構いませんし、購入が難しい場合などは個別にご相談下さい。なお、植物標本はパウチの有無にかかわらず非常に壊れやすいので、曲げたり衝撃を与えないよう、取り扱いにはくれぐれも注意して下さい。
展示条件に関わらず、展示期間は2週間程度(最長3週間)でお願い致します。
貸し出し中または予約済みの場合、ご希望に添えない可能性があることも、ご承知下さい。

収蔵庫内の植物標本に関しては、「東京都立大学 牧野標本館所蔵」であることを明記していただくことを条件として、当館の高精細スキャナで撮影したデジタル画像(解像度は600dpi以内)をご利用頂くことが可能です。貴重な学術標本を永く保存していくためにも、展示等にはデジタル画像または展示用標本のご利用をご検討頂けますと幸いです。

 問い合わせ先:東京都立大学・牧野標本館 加藤英寿

 電子メール:katohide*tmu.ac.jp(*を@に変えて下さい)

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