分類学
ホソヒラタムシ科を中心に、チビヒラタムシ科、オオキノコムシ科などの隠蔽環境に生息する小さな甲虫の分類学的基盤の構築を進めています。これらの甲虫の分類学には、交尾器形態が重要な形質となることが多く、解剖して交尾器形態を観察して、識別形質を把握します(図は収納されているオス交尾器を立体的にスケッチしています)。隠蔽環境の小さな甲虫の仲間は研究が進んでいないため、基礎研究の積み重ねが必要となります。
幼虫・蛹形態
ホソヒラタムシ科やオオキノコムシ科などの幼虫・蛹形態を記載しています。隠蔽環境の小さな甲虫は多くの種の幼虫・蛹が明らかにされていません。ときには、予想だにしない生態をした幼虫も発見され、自然史研究の懐の深さを目の当たりにします。たとえば、ヨツボシケナガキスイや同属他種の幼虫は脱皮殻を腹部末端に引っ掛けるための毛があり、終齢幼虫(4齢)は3つの脱皮殻が連結し、尾のように持ち上がった状態になることが分かりました(右図)。彼らの生きざまを知るためには、幼虫・蛹時代の情報収集もたいへん重要であると考えています。
系統学
甲虫の類稀なる多様性はいかにして創られたのか、これを解き明かすために、重要な鍵となる“隠蔽環境への適応”に着目し、進化学的な研究に取り組んでいます。DNA配列や形態形質を利用して、彼らの系統の推定を進めています。彼らの進化の過程を推定することで、彼らの祖先はどのような環境に生息していたのか、そして、新たな環境への進出とともに、どのような形態進化を遂げたのか、系統学的手法でこれらの課題に取り組みます。