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写真 神経分子機能研究室
 神経細胞の分化、移動、シナプス活動、老化、細胞死など様々な神経活動を制御する因子の一つに、サイクリン依存性キナーゼ5(Cdk5)というリン酸化酵素があります。当研究室ではCdk5の活性調節と役割を手がかりにして、脳の仕組みを解明していこうとしています。
教 員
教 授 久永 真市 e-mail
准教授 安藤 香奈絵 e-mail
助 教 斎藤 太郎 e-mail
助 教 淺田 明子 e-mail
Cdk5の活性制御機構と機能
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Cdk5の活性制御機構と機能:サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)は増殖細胞で細胞周期を制御する最も重要な因子として知られています。その異常活性化はがん化を誘導します。一方、その仲間の一つであるCdk5は分化し、分裂をしなくなった神経細胞で機能するユニークなCdkです。神経細胞に多く存在するp35 またはp39という制御サブユニットによって活性化されます。Cdk5は脳形成時における神経細胞の移動や軸索の形成、成体脳ではシナプス活動に関わることが示されています。また、老化に伴いCdk5の活性異常が起こり易くなり、その異常活性化はアルツハイマーなどの神経変性疾患の原因になることが判っています。このようにCdk5の活性制御は神経細胞の機能や生存にとって重要です。
神経軸索へのミトコンドリア分布の制御とその異常による神経変性のメカニズム (安藤)
人が美しい景色や音楽に感動したり、楽しかったことを覚えていたり、新しい概念を創り出したりするのは、脳内の神経細胞ネットワークによって担われています。しかし、その神経細胞の機能はどのように制御されているのでしょう。また、どうしたらその機能を生涯にわたって維持することができるのでしょうか?

私たちは、脳の機能とその維持の分子メカニズムについて、エネルギー産生を担う細胞小器官ミトコンドリアの役割に注目して研究を行っています。神経細胞は長い軸索と樹状突起のある複雑な形をしているため、ミトコンドリアが神経細胞内でどのように分布するかが特に重要だと考えられますが、ミトコンドリア分布の制御機構や、それが乱れた時に何が起きるのかについてはよくわかっていません。私たちは、主にショウジョウバエをモデル動物として用い、分子生物学、細胞生物学、イメージング、行動解析、遺伝子発現解析など様々な手法を駆使して研究を進めています。ミトコンドリアの異常は多くの神経変性疾患脳で見られるので、この研究の成果はその治療法の開発にも役立つと期待されます。

安藤の研究室は米国トマスジェファーソン医科大学から移動し、2015年4月から新しいメンバーとともに始動しています。熱意のある大学院生、技術補佐員、ポスドクを募集します。詳しくはメールでお問い合わせください。

現在のテーマ
(1)ミトコンドリアの神経軸索内分布の制御機構
(2)ミトコンドリアの神経軸索での異常を核へ伝えるシグナリング
(3)アルツハイマー病関連分子タウが神経細胞死を引き起こす分子メカニズム

安藤の以前の発表論文等についてはこちら:
http://scholar.google.co.jp/citations?user=aUQ_Q5EAAAAJ&hl=en
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神経細胞の移動とスパイン形成
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Cdk5はLMTK1を介して神経細胞の軸索形成の制御する:神経細胞は軸索と樹上突起という二つの性質の異なった細胞突起を持ちます。神経細胞の興奮は樹状突起から軸索へと伝わる方向が決まっています。軸索と樹状突起は構造的にも機能的にも異なっています。神経突起の形成については細胞骨格の研究が進んでいます。一方、突起の伸展には細胞膜の供給も欠かせませんが、どのようにして細胞膜が供給されるかは殆ど判っていませんでした。当研究室ではCdk5によってリン酸化されるLMTKというキナーゼが膜の供給に関与していること、そして、その制御はCdk5によるリン酸化で行われていることを初めて明らかにしました。写真ではLMTK1をノックアウト(-/-)した神経細胞では軸索(1本の長い突起)が長くなっていることが判ります。
アルツハイマー病とCdk5の異常活性化
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アルツハイマー病とCdk5の異常活性化:アルツハイマー病は通常の老化よりもより早く、より多くの神経細胞が死んでしまうことが原因で発症します。その仕組みとしてアミロイドカスケードが知られています(黄色)。一方、前頭側頭葉型認知症(FTDP17)ではタウの変異が原因であることが知られています(緑色)。いずれもタウの異常リン酸化が起こり、神経細胞死が見られます(ピンク)。Cdk5はタウの異常リン酸化を担うキナーゼで、また、神経細胞死を引き起こすキナーゼでもあります。Cdk5がどのようにしてタウの異常リン酸化と神経変性疾患に関わるかを調べています。
最近の研究業績
  1. Fuchigami, T., Sato, Y., Tomita, Y., Takano, T., Miyauchi, S., Tsuchiya, Y., Saito, T., Kubo, K., Nakajima, K., Fukuda, M., Hattori, M. and Hisanaga, S. Dab1-mediated colocalization of multi-adaptor protein CIN85 with Reelin-receptors, ApoER2 and VLDLR, in neurons. Genes to Cells, in press.
  2. Kimura, T., Tsutsumi, K., Taoka, M., Saito, T., Masuda-Suzukake, M., Ishiguro, K., Plattner, F., Uchida, T., Isobe, T., Hasegawa, M., and Hisanaga, S. Pin1 Stimulates Dephosphorylation of Tau at Cdk5-Dependent Alzheimer Phosphorylation Sites. J. Biol. Chem. In press/
  3. 斎藤太郎、久永眞市. 神経細胞におけるCDK5の機能とその異常活性化による神経変性疾患. 細胞周期2013.実験医学 (羊土社)、31, 265-270, 2013.
  4. Hisanaga S., Asada A. Cdk5-induced neuronal cell death: the activation of the conventional Rb-E2F G1 pathway in post-mitotic neurons. Cell Cycle News & Views, 11, 2049, 2012.
  5. Takano, T., Tomomura, M., Yoshioka, N., Tsutsumi, K., Terasawa, Y., Saito, T., Kawano, H., Kamiguchi, H., Fukuda, M., Hisanaga, S. LMTK1/AATYK1 is a bovel regulator of axonal outgrowth that acts via Rab11 in a Cdk5-dependent manner. J. Neurosci. 32, 6587– 6599, 2012
  6. Hayashi, Y., Nihonmatsu-Kikuchi, N., Hisanaga, S., Yu, X., Tatebayashi, Y. Neuropathological similarities and differences between schizophrenia and bipolar disorder : a flow cytometric postmortem brain study. PLoS One 7, e33019, 2012.
  7. Asada, A., Saito, T., and Hisanaga, S. Subcellular localization of active Cdk5 is determined by its own kinase activity. J. Cell Sci., 125, 3421-3429, 2012.
  8. Shahpasand, S., Uemura, I., Saito, T., Asano, T., Hata, K., Shibata, K., Toyoshima, Y., Hasegawa, M., and Hisanaga, S. Regulation of mitochondrial transport and inter-microtubule spacing by Tau phosphorylation at the sites hyperphosphorylated in Alzheimer’s disease. J. Neurosci., 32, 2430-2441, 2012.
  9. 久永眞市.Phos-tag を用いたCdk5制御サブユニットp35のin vivo リン酸化の定量的解析.生物物理化学.56, s9, 2012.
  10. Minegishi, S., Hisanaga, S. Cyclin-dependent kinase 5: preparation and measurement of kinase activity. In Protein kinase technologies. Neuromethods (Ed., H. Mukai), Springer, in press.
  11. Sato, K., Minegishi, S., Takano, J., Plattner, F., Saito, T., Asada, A., Kawahara, H., Iwata, N., Saido, T. C., Hisanaga, S. Calpastatin, an endogenous calpain-inhibitor protein, regulates the cleavage of the Cdk5 activator p35 to p25. J. Neurochem. 117, 504-515, 2011.
  12. Hisanaga, S., and Endo, E. Regulation and role of Cdk5 kinase activity in neuronal survival and death. J. Neurochem., 115, 1309-1321, 2010.
  13. Hisanaga, S., Sasaki, T., and Uchida, A. Neurofilaments in aged amimals. Cytoskeleton of the Nervous System. pp325-345. Advances in Neurobiology 3. Eds. By R. Nixon and A Yuan. Springer.
  14. Minegishi, S., Asada, A., Miyauchi, S., Fuchigami, T., Saito, T., and Hisanaga, S.
  15. Membrane association facilitates degradation and cleavage of the cyclin-dependent kinase 5 activators p35 and p39. Biochemistry, 49, 5482-5493, 2010
  16. Takano, T., Tsutsumi, K., Saito, T., Asada, A., Tomomura, M., Fukuda, M., Hisanaga, S. AATYK1A phosphorylation by Cdk5 regulates the recycling endosome pathway. Genes Cells 15, 783-797, 2010.
  17. Tsutsumi, K., Takano, T., Endo, R., Fukuda, M., Ohshima, T., Tomomura, M., and Hisanaga, S. Phosphorylation of AATYK1 by Cdk5 suppresses its tyrosine phosphorylation. PLoS ONE, 5, e10260, 2010.
  18. Hosokawa, T., Saito, T., Asada, A., Fukunaga, K., and Hisanaga, S. Quantitative Measurement of In Vivo Phosphorylation States of Cdk5 Activator p35 by Phos-tag SDS-PAGE. Mol. Cell. Proteomics. 9, 1133-1143, 2010.
  19. Asada, A, Takahashi, J., Taniguchi, M., Yamamoto, H., Kimura, T., Saito, T., and Hisanaga, S. Neuronal expression of two isoforms of mouse Septin 5. J. Neurosci. Res. 88,1309-1316, 2010.
  20. 久永眞市,遠藤良.神経細胞におけるCdk5-p35の活用戦略.「細胞周期フロンティア」佐方功幸・稲垣昌樹・岸本健雄 編集 共立出版、pp242-247、2010.
  21. 細川智永、久永真市.Cdk5―シナプスにおけるネガティブレギュレーター.生体の科学特集号「シナプスをめぐるシグナリング」61, 470-471, 2010.
  22. Endo, R., Saito, T., Asada, A., Kawahara, H., Ohshima, T. and Hisanaga, S. Commitment of MPP+-induced neuronal cell death by proteasome-mediated degradation of p35 Cdk5 activator. J. Biol. Chem., 284, 26029-26039, 2009.
  23. Sasaki, T., Ishiguro, K., and Hisanaga, S. Novel axonal distribution of neurofilament-H phosphorylated at the GSK3β-phosphorylation site in its E-segment. J. Neurosci. Res. 87:3088-3097, 2009.
  24. Yotsumoto, K., Saito, T., Asada, A., Oikawa, T., Kimura, T., Uchida, C., Ishiguro, K., Uchida, T., Hasegawa, M., & Hisanaga, S. Effect of pin1 or microtubule binding on dephosphorylation of FTDP-17 mutant tau. J. Biol. Chem. 284, 16840-16847, 2009.
  25. 久永真市.多様な神経機能を制御するキナーゼCdk5. 編集. 蛋白質核酸酵54, 2009.
©2015 Department of Biological Sciences, Tokyo Metropolitan University